「特定在留カード」とは?──在留カードとマイナンバーカードの一体化で何が変わるのか
外国人ビザ申請(在留資格)
公開日:2026/6/18
更新日:2026/6/18
日本で暮らす外国人の多くは、在留カード(または特別永住者証明書)とマイナンバーカードの2枚を持っています。しかし現状では、引っ越しや在留資格の変更などのたびに、入管と市区町村の双方でそれぞれ手続きをしなければならず、手間がかかるのが実情でした。
この不便を解消するために導入されたのが、「特定在留カード」という新しい仕組みです。2026年(令和8年)6月14日から運用が始まっており、すでに申請を受け付けています。本コラムでは、出入国在留管理庁が公表している情報をもとに、制度の要点と実務上の注意点を整理してご紹介します。
特定在留カードとは何か
特定在留カードとは、ひとことで言えば「マイナンバーカードの機能を一体化した在留カード」です。特別永住者の方については、同様に「特定特別永住者証明書」が用意されます(以下、両者をまとめて「特定在留カード等」と呼びます)。
これらは法律上マイナンバーカードとみなされ、1枚のカードで在留カードとマイナンバーカードの両方の機能を果たすことができます。財布の中の2枚が1枚にまとまる、とイメージしていただくと分かりやすいでしょう。
交付を受けるメリット
最大のメリットは、手続きのワンストップ化です。
現行制度では、マイナンバーカードを持つ中長期在留者が入管で在留資格の許可を受けたり届出を行ったりした場合、別途、市区町村の窓口に出向いてマイナンバーカードの情報を更新する必要がありました。
特定在留カードであれば、入管での手続きの際に申請するだけでカードの情報が最新の状態に保たれるため、市区町村の窓口へ改めて足を運ぶ必要がなくなります。在留資格の変更が多い方ほど、その効果を実感できるはずです。
いつから始まったのか
特定在留カード等は、2026年(令和8年)6月14日(日)から運用が開始されました。これに伴い、地方出入国在留管理局では、翌開庁日である6月15日(月)から交付申請を受け付けています。
市区町村の窓口についても多くは同様の見込みですが、開庁日の取扱いは自治体によって異なる場合があるため、お住まいの市区町村にご確認ください。
つまり、特定在留カードはすでに「これから始まる制度」ではなく、現に申請できる制度になっています。
取得は義務ではない
ここは誤解の生じやすいポイントです。マイナンバーカードの取得自体が任意であることから、特定在留カード等の取得も任意であり、これまでどおり在留カードとマイナンバーカードを2枚持ち続けることも可能です。
取得を希望しない場合は、マイナンバーが記載されない「新たな様式の在留カード等」が交付されます。つまり、選択肢は次の2つになります。
特定在留カード等(マイナンバーカード機能を一体化)
新たな様式の在留カード等(従来どおり在留カードのみ)
既存のカードは切り替えが必要か
2026年6月13日までに交付された在留カード等は、その有効期限までそのまま使えます。 したがって、慌てて特定在留カード等や新様式のカードへ切り替える手続きをする必要はありません。
ただし、有効期限の満了日より前に新しいカードへの交換を希望する場合は、地方出入国在留管理局で「交換希望による再交付」の申請をすることができます。
対象となる人・申請できる場所
申請できるのは、住民基本台帳に記録されている中長期在留者または特別永住者です。
申請の窓口は、手続きの内容によって従来どおり分かれます。
住居地の届出(転入届によるものに限る)… 市区町村の窓口
在留資格に係る申請・在留カードに係る届出 … 地方出入国在留管理局
これらの手続きの「ついで」に特定在留カード等の交付を申請できる、という設計です。
券面の記載事項はどう変わるか
特定在留カードの券面には、氏名・生年月日・性別・国籍の属する国又は地域・住居地・在留資格・在留期間の満了日・在留カードの番号・有効期間の満了日・就労制限の有無・資格外活動許可の有無が記載されます。
一方で、在留期間・許可の種類及び年月日・在留カードの交付年月日といった項目は券面から消え、カード内のICチップにのみ記録されることになります。なお、マイナンバー(個人番号)はカードの裏面に記載されます。
実務上の注意点 券面に表示されなくなる項目(在留期間など)は、ICチップを読み取らなければ確認できません。企業の人事・労務ご担当者は、在留期間の管理方法を改めて見直しておくことをおすすめします。
有効期間の考え方
在留カードとマイナンバーカードの有効期間を一致させ、更新を一元化する狙いから、有効期間の考え方も整理されました。
在留期間が無期限の方(永住者・高度専門職2号・特別永住者)… 交付日後の10回目(18歳未満は5回目)の誕生日まで
在留期間に定めのある中長期在留者… 従来どおり在留期限まで
交付手数料はいくらか
手数料については、2026年6月14日以降に初めて各種手続きを行い、その際に交付を受ける場合は不要です。具体的には、2026年6月13日までに交付された在留カードを持っている方が、在留期間更新や各種届出などを初めて行う際に併せて特定在留カードの交付を受けるようなケースが該当します。
一方で、その後に「交換希望」などで再交付を受ける場合には、手数料が必要になることがあります。手数料は次の2種類に分かれます。
入管に対する手数料(在留カード機能分)… 1,900円(自宅への郵送=直送を希望する場合は2,600円)
J-LISに対する手数料(マイナンバーカード機能分)… 600円(電子証明書の発行を受ける場合は800円)
どの手続きで手数料がかかるかは条件が細かく分かれるため、ご自身のケースで不安があれば事前に確認されることをおすすめします。
申請前に知っておきたい実務上の注意点
制度を使ううえで、特に押さえておきたい運用面のポイントが3つあります。
オンライン申請には対応していません。 在留諸申請をオンラインで行う場合、特定在留カードの交付申請は同時に行えません。希望する場合は、在留申請自体も窓口へ出向いて手続き・受領する必要があります。
即日交付はできません。 特定在留カードは、申請から交付まで最短でも2週間前後かかります(通常の在留カードより10日ほど長め)。スケジュールには余裕を持たせてください。
特例期間中のマイナンバーカード機能にご注意を。 特定在留カードのマイナンバーカード機能の有効期間は、本来の在留期間の満了日までです。更新審査が長引いて満了日を過ぎ特例期間に入る場合、満了日までに市区町村でマイナンバーカード機能の有効期間変更手続きをしないと、マイナ保険証などが使えなくなる可能性があります。
なお、特定在留カードは在留カードである以上、常時携帯義務があります。また、空港では交付されず、新規上陸の際は従来どおり在留カードが交付されます。
その他のポイント
顔写真:2026年6月13日までに交付されたカードでは16歳未満は顔写真を表示しませんが、6月14日以降に交付されるカードでは、1歳以上16歳未満の方も顔写真が表示されます。
通称:マイナンバーカードと同様に、特定在留カード等にも通称が記載されます。ただし、記載される場所は追記欄となります。
マイナ保険証・マイナ免許証:特定在留カード等は、マイナ保険証・マイナ免許証としても利用できます(マイナ免許証は別途、免許情報の記録手続きが必要です)。
まとめ
特定在留カードは、「在留カード」と「マイナンバーカード」を1枚にまとめ、手続きの負担を軽くするための新しい選択肢です。2026年6月14日からすでに運用が始まっており、取得は任意、既存カードの切替も急ぐ必要はありませんが、在留資格の変更が多い方や、複数枚のカード管理に煩わしさを感じている方にとっては、検討に値する制度といえるでしょう。
一方で、オンライン申請に対応していない、交付まで時間がかかる、特例期間中のマイナンバーカード機能に注意が必要、といった実務上の落とし穴もあります。「どちらのカードを選ぶべきか」「自分のケースではいつ申請するのが得か」と迷われた際は、最新の公式情報をご確認のうえ、専門家にご相談ください。
本コラムは、出入国在留管理庁「特定在留カード交付申請について」(https://www.moj.go.jp/isa/tokutei.html)および「在留カードとマイナンバーカードの一体化Q&A」の内容をもとに、行政書士しのはら事務所が作成したものです。手数料の要否や申請手続きの詳細は条件によって細かく異なります。制度の詳細や最新情報は、必ず公式情報をご確認ください。
コラムを書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第2408248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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