居抜きのバーを開業するとき前の店の届出は引き継げる?深夜酒類提供飲食店営業の注意点
風営法許可
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バーやスナックを開業するとき、内装や設備が残っている「居抜き物件」を利用するケースは少なくありません。
前のテナントもバーとして深夜営業していた場合、
「前のお店が深夜酒類提供飲食店営業の届出をしているなら、その届出をそのまま使えるのでは?」
と思われるかもしれません。
しかし、営業者が変わる場合、原則として前の店舗の深夜酒類提供飲食店営業の届出をそのまま引き継ぐことはできません。
居抜き物件であっても、新しい営業者が午前0時以降に酒類を提供するバーなどを営業するのであれば、あらためて「深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出」を行う必要があります。
この記事では、居抜き物件でバーを開業するときの深夜酒類提供飲食店営業の手続について、行政書士が解説します。
結論|営業者が変われば前の店の届出は引き継げません
深夜における酒類提供飲食店営業の届出は、単純に「この物件で深夜営業をしてよい」という物件に対する届出ではありません。
風営法では、深夜に酒類提供飲食店営業を営もうとする者が、営業所ごとに公安委員会へ届出を行うこととされています。
届出事項には、
営業者の氏名または法人名・住所
法人の場合は代表者の氏名
営業所の名称・所在地
営業所の構造・設備の概要
などが含まれます。
そのため、例えば前のテナントが「Aさん」、新しくバーを開業する人が「Bさん」であれば、店舗の所在地や内装がまったく同じでも、営業者は別人です。
Bさんは自分の名義で新たに営業開始届出を行う必要があります。
法人の場合も同様です。
前の店舗を株式会社Aが経営しており、居抜きで株式会社Bが店舗を借りる場合、株式会社Bとして新たに届出をすることになります。
「許可」ではなく「届出」でも引き継げないの?
深夜酒類提供飲食店営業は、一般に「深夜営業許可」などと呼ばれることがありますが、法律上は「許可」ではなく「届出」です。
警視庁でも、深夜における酒類提供飲食店営業について「営業開始」「変更」「廃止」というそれぞれの届出手続が設けられています。
前の営業者から新しい営業者へ名義だけを書き換えるような「名義変更」の手続があるわけではありません。
したがって、
前の営業者:廃止届出
新しい営業者:営業開始届出
という形になるのが基本です。
なお、前の営業者が廃止届を提出しているかどうかは、新しい営業者側でも物件契約時などに確認しておくと安心です。
同じ会社が店名だけ変更する場合は?
営業者そのものが変わらず、同じ個人または同じ法人が引き続き営業するケースは事情が異なります。
例えば、
「BAR A」から「BAR B」へ店舗名を変更する
といったケースでは、新規の営業開始届出ではなく、変更届出の対象となる場合があります。
深夜酒類提供飲食店営業では、営業者の氏名・名称や住所、法人代表者、営業所の名称、営業所の構造・設備などに変更があった場合について変更届の制度があります。
つまり重要なのは、
「前の店と同じ物件か」ではなく、「営業者が同じか」
という点です。
居抜き物件を別の人・別法人が借りて新しく営業する場合には、原則として新規の営業開始届出として考えましょう。
居抜きなら前の店の図面をそのまま使える?
これも相談の多いポイントです。
前の店舗が深夜酒類提供飲食店営業の届出をしていた場合、平面図などが残っていることがあります。
しかし、前の店の図面があるからといって、そのまま提出できるとは限りません。
警視庁が案内する営業開始届出では、営業所の平面図が必要書類とされています。
居抜き物件でも、
カウンターの位置を変更した
テーブルや椅子の配置を変更した
客室と厨房の区画を変更した
壁や間仕切りを追加・撤去した
照明設備を変更した
音響設備を追加した
など、前の店舗と現在の状態が変わっていることがあります。
また、古い図面と実際の店舗寸法が一致していないことも珍しくありません。
そのため、前の店舗の図面が残っていたとしても、現在の店舗を確認したうえで届出用の図面を作成することが重要です。
前の図面が入手できる場合は、現況確認や新しい図面作成の参考資料として利用できることがあります。
「前もバーだったから大丈夫」とは限りません
居抜き物件で特に注意したいのが、この考え方です。
前の店も朝まで営業していたから、この物件なら自分も深夜営業できるだろう。
実際には、必ずしもそうとは限りません。
深夜酒類提供飲食店営業では、営業できる地域や営業所の構造・設備などについて確認が必要になります。
また、前の店舗と新しい店舗では営業内容が違うこともあります。
例えば、
前の店
「カウンターバーとして酒類を提供」
新しい店
「スタッフがお客様の隣に座って会話をしたり、一緒に飲酒したりする」
という場合、新しい店舗の営業方法によっては、単なる深夜酒類提供飲食店営業ではなく、「接待」を伴う風俗営業に該当する可能性があります。
さらに、深夜に客へ遊興をさせながら酒類を提供する営業については、特定遊興飲食店営業に該当する可能性もあります。
警視庁は、午前0時から午前6時までの深夜に酒類を提供するバー・酒場等を深夜酒類提供飲食店営業としており、特定遊興飲食店営業については別の営業類型として定めています。
したがって、前の店舗が何の届出をしていたかだけではなく、自分がこれからどのような営業をするのかを基準に判断する必要があります。
居抜き物件を契約する前に確認したいポイント
バーやスナックの居抜き物件を見つけても、すぐに契約するのではなく、できれば次の点を事前に確認しておきましょう。
1.その地域で深夜営業が可能か
物件所在地によっては、深夜酒類提供飲食店営業が制限されている場合があります。
「以前バーだった」という理由だけで判断せず、現在の用途地域や条例上の制限を確認します。
2.賃貸借契約上、バー・深夜営業が認められているか
用途地域などの行政上の問題とは別に、賃貸借契約でバー営業や深夜営業が禁止されている可能性があります。
物件オーナーや管理会社にも営業内容を伝えたうえで契約することが重要です。
3.飲食店営業許可の手続
深夜酒類提供飲食店営業の届出とは別に、飲食物を提供する場合には食品衛生法上の飲食店営業許可についても確認が必要です。
保健所の手続と警察署への深夜酒類の届出は別の制度です。
4.店舗の構造・設備
居抜きの場合でも、現在の店舗状態が届出内容に適合しているか確認します。
特に、客室面積や区画、照明設備、音響設備などは現地で確認しておくと安心です。
5.営業内容
バー、スナック、ガールズバー、カラオケバー、ダーツバーなど、店名だけでは必要な手続を判断できません。
「誰が・どのように接客するのか」「客にどのようなサービスを提供するのか」まで確認する必要があります。
深夜酒類の届出は営業開始日の10日前まで
深夜における酒類提供飲食店営業の営業開始届出は、深夜営業を開始しようとする日の10日前までに行う必要があります。
例えば、
10月20日に午前0時以降の営業を開始したい
という場合に、10月19日に届出をすればよいわけではありません。
さらに実際には、届出前に、
営業内容の確認
用途地域等の確認
店舗の現地確認・測量
平面図等の作成
必要書類の収集
管轄警察署への確認
などが必要になることがあります。
そのため、「オープンの10日前に行政書士へ相談すればよい」という意味ではありません。
居抜き物件が決まった段階、できれば契約前の段階から確認を始めることをおすすめします。
居抜き物件は「開業しやすい」一方で確認が重要
居抜き物件には、
内装工事費を抑えられる
カウンターや厨房設備を利用できる
開業準備期間を短縮しやすい
といったメリットがあります。
一方で、
「前もバーだったから大丈夫」
「前の届出を使えばすぐ営業できる」
と思って契約すると、想定外の問題が発生することがあります。
特に重要なのは、
前の店舗の営業内容と、新しく始める店舗の営業内容は別のものとして確認することです。
物件そのものだけでなく、営業者・営業方法・店舗構造を確認したうえで必要な手続を判断しましょう。
新宿区・高田馬場周辺でバーの開業を検討している方へ
行政書士しのはら事務所では、東京都内でバー・スナックなどを開業される方を対象に、深夜における酒類提供飲食店営業の届出をサポートしています。
居抜き物件についても、
深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要か
物件所在地で深夜営業が可能か
風俗営業や特定遊興飲食店営業に該当しないか
店舗図面をどのように作成すればよいか
オープン予定日までにどのような手続が必要か
といった点から確認いたします。
特に物件契約後に「この場所では予定していた営業ができない」と判明すると、大きな負担となります。
居抜きのバー物件を検討している場合は、できれば契約前にご相談ください。
この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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