シーシャバー開業に必要な許可は?「喫煙目的店」になれるかが分かれ目
風営法許可
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この記事のポイント
飲食店営業許可だけではシーシャを提供できません
最大の関門は、改正健康増進法上の「喫煙目的店」として認められるかどうかです
喫煙目的店になるには、店舗でたばこを対面販売していることが必要です
ノンニコチンのフレーバーでも、20歳未満の立ち入りは認められません
- なぜシーシャバーは、普通の飲食店より手続きが複雑なのか
- 必要な手続きの全体像
- 最大の関門:「喫煙目的店」の要件
- ① たばこの対面販売を行っていること
- ② 通常主食と認められる食事を主として提供していないこと
- ③ 喫煙目的室の技術的基準を満たすこと
- ④ 標識の掲示
- たばこの販売許可には2つのルートがあります
- ルートA:製造たばこ小売販売業許可(たばこ事業法第23条)
- ルートB:出張販売許可(たばこ事業法第26条)
- 見落とされがちな3つの論点
- ① ノンニコチンなら規制対象外、ではありません
- ② 東京都受動喫煙防止条例の上乗せ規制
- ③ 深夜営業・接客内容によっては警察署の手続きも
- 手続きの順序を間違えると、やり直しになります
- よくあるご質問
なぜシーシャバーは、普通の飲食店より手続きが複雑なのか
2020年4月1日に全面施行された改正健康増進法により、新たに開業する飲食店は原則として屋内禁煙となりました。
それにもかかわらず、新規のシーシャバーが次々と開業しています。理由は単純で、これらの店舗が通常の飲食店ではなく、「喫煙目的店」という別の枠組みで営業しているからです。
シーシャバーの開業手続きが複雑に見えるのは、食品衛生法(保健所)、健康増進法(保健所・自治体)、たばこ事業法(財務局)、風営法(警察署)、消防法(消防署)という5つの制度が同時に関わるためです。窓口も所管もすべて異なります。
必要な手続きの全体像
手続き | 所管 | 必要になる場面 |
|---|---|---|
飲食店営業許可 | 保健所 | 飲食物を提供する場合(ほぼ必須) |
製造たばこ小売販売業許可 | 財務局(JT経由) | 喫煙目的店として営業する場合 |
喫煙目的室の設置・標識の掲示 | 健康増進法上の義務 | 店内で喫煙させる場合 |
深夜酒類提供飲食店営業開始届出 | 警察署 | 深夜0時以降に酒類を提供する場合 |
防火対象物使用開始届・防火管理者選任 | 消防署 | 店舗の規模・用途による |
最大の関門:「喫煙目的店」の要件
改正健康増進法において、屋内で喫煙をさせられる施設は限られています。シーシャバーが該当するのは「喫煙目的施設」のうち「喫煙目的店」です。
喫煙目的店として認められるには、次の要件を満たす必要があります。
① たばこの対面販売を行っていること
これが最大のハードルです。 単にシーシャを提供するだけでは足りず、店舗でたばこを販売している必要があります。そのためには、たばこ事業法に基づく許可が要ります(後述)。
② 通常主食と認められる食事を主として提供していないこと
「喫煙が主目的の店」であることが前提のため、定食やご飯もの、麺類などを中心に提供する業態では要件を満たしません。フードメニューの設計が、許可の可否に直結します。
シーシャバーでも「食事を出したい」というご相談は多いのですが、ここは慎重な線引きが必要です。
③ 喫煙目的室の技術的基準を満たすこと
出入口において、室外から室内に流入する空気の気流が毎秒0.2メートル以上であること
たばこの煙が室内から室外に流出しないよう、壁・天井等で区画されていること
たばこの煙が屋外または外部の場所に排気されていること
店舗の全体を喫煙目的室にする場合、この基準の判定対象は店舗の出入口になります。換気・排気設備の設計は、内装工事の段階で織り込まなければ後から対応できません。
④ 標識の掲示
喫煙目的店であること、20歳未満の立ち入りが禁止されていることを掲示する義務があります。
たばこの販売許可には2つのルートがあります
要件①をクリアするための方法は2つです。
ルートA:製造たばこ小売販売業許可(たばこ事業法第23条)
自ら小売販売業の許可を取得する方法です。ただし、次のような要件があり、繁華街の店舗では取得できないことが多いのが実情です。
既存のたばこ小売販売店との距離制限(地域区分により基準が異なります)
一定以上の予定販売数量
店舗の構造・設備要件
高田馬場や新宿のような、たばこ販売店が密集しているエリアでは、距離制限で弾かれるケースが目立ちます。
ルートB:出張販売許可(たばこ事業法第26条)
既存のたばこ小売販売業者に、自店を「出張販売所」として登録してもらい、対面販売の業務委託を受ける方法です。
距離制限・予定販売数量の要件がないため、実務上はこちらが主流です
ただし、協力してくれるたばこ小売販売業者を見つける必要があります
許可までに一定の期間を要します
【要加筆】協力業者の探し方、先生が把握している実務上のリードタイム
見落とされがちな3つの論点
① ノンニコチンなら規制対象外、ではありません
「ニコチンを含まないフレーバーを使えば健康増進法の対象外になるのでは」というご質問をよくいただきます。
たしかに、たばこ葉を使用しない製品であれば、たばこ事業法上の「製造たばこ」には当たらない場合があります。しかし、20歳未満の者への提供や、喫煙目的室への立ち入りについては、たばこ代用品として同様に扱われるのが実務上の運用です。
また、ノンニコチンで通すのであれば、そもそも「たばこの対面販売」という喫煙目的店の要件を満たさなくなるため、別の法律関係を整理し直す必要があります。 安易な回避策として考えるべきではありません。
② 東京都受動喫煙防止条例の上乗せ規制
東京都では、国の法律に加えて東京都受動喫煙防止条例が適用されます。従業員を雇用している飲食店は、国の経過措置(既存特定飲食提供施設の喫煙可能室)を利用できません。
つまり都内では、「小規模な既存店だから喫煙可」というルートが事実上使えず、喫煙目的店として整えるしか選択肢がないケースが大半です。都内での開業をお考えの場合、この点は必ず押さえてください。
③ 深夜営業・接客内容によっては警察署の手続きも
深夜0時以降に酒類を提供する場合:深夜酒類提供飲食店営業開始届出が必要です(警察署)
スタッフが特定の客の隣で継続的に接客する場合:風営法上の「接待」に該当し、風俗営業1号許可が必要になる可能性があります
シーシャバーは滞在時間が長く、スタッフがシーシャの交換や調整で客席に頻繁に行く業態です。そのため、接客のスタイルによっては接待該当性が問題になり得ます。
手続きの順序を間違えると、やり直しになります
シーシャバー開業で最も多い失敗は、内装工事を終えてから許可の相談に来られるケースです。
換気・排気設備は喫煙目的室の技術的基準に直結し、後から基準を満たすには大掛かりな工事が必要になります。また、たばこ販売の許可が下りなければ、そもそも喫煙目的店として営業できません。
推奨する順序は次のとおりです。
物件の選定前に、営業形態(喫煙目的店にするか)を確定する
たばこ販売の許可ルート(自ら取得か、出張販売か)の見通しを立てる
換気・排気を織り込んだ内装設計を行う
工事と並行して各種申請を進める
保健所・消防の検査を受け、営業開始
【要加筆】所轄保健所ごとの運用差、検査で指摘されやすいポイント
よくあるご質問
Q. 物件を探している段階ですが、相談できますか?
その段階でのご相談を強くおすすめします。換気・排気が確保できない物件、たばこ販売の距離制限に引っかかる立地など、契約前に確認すべき点が複数あります。
Q. すでに飲食店営業許可を持っています。シーシャを出すには何が必要ですか?
喫煙目的店の要件を満たす必要があります。たばこの対面販売体制の構築、換気設備の確認、標識の掲示、メニュー構成の見直しが論点になります。現状をお伺いした上で整理します。
Q. 20歳未満のお客様を入れることはできますか?
喫煙目的店には、20歳未満の方は客・従業員を問わず立ち入ることができません。入店時の年齢確認の運用も含めてご案内します。
Q. シーシャの提供だけで、お酒は出さない予定です。手続きは減りますか?
深夜酒類提供飲食店営業開始届出は不要になります。ただし、喫煙目的店に関する手続きは変わりません。
この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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