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【風営法】警察署の実査は何を見る?許可申請の「図面作成」と「立ち入り検査」完全攻略ガイド

風営法許可

公開日:2025/11/24

更新日:2025/12/1

「申請書を出せば、あとは許可証が届くのを待つだけでしょ?」 そう考えているオーナー様がいらっしゃれば、今すぐその認識を改める必要があります。

風俗営業許可(1号営業など)の申請において、書類提出はあくまで「スタートライン」に過ぎません。その前段階として、建築士レベルの精密さが求められる「図面作成」があり、提出後には警察官や調査員が実際に店舗へ乗り込んでくる「実査(立ち入り検査)」が待ち受けています。

特に図面と現況(実際の店舗)にわずか数センチでもズレがあれば、検査は不合格となり、指摘事項を修正して再検査になるまで営業許可は下りません。 つまり、オープンの日程が際限なく遅れてしまうのです。

本記事では、多くの申請者が躓く「図面の作成ポイント」と、緊張の「実査」でチェックされる具体的な項目について、現場を知り尽くした行政書士が徹底解説します。


申請からオープンまで!許可取得の標準スケジュール

まずは全体像を把握しましょう。風営法の許可申請は、思い立ってすぐにできるものではありません。一般的には、準備開始から許可取得まで約2ヶ月〜3ヶ月の期間を見込んでおく必要があります。

  1. 【事前調査】 場所的要件(用途地域・保全対象施設)の確認

  2. 【店舗工事・測量】 内装工事完了後、正確な測量を行う

  3. 【書類・図面作成】 申請書および添付書類(図面含む)の作成

  4. 【申請受理】 管轄の警察署(生活安全課)へ提出・手数料納付

  5. 【実査(立ち入り検査)】 浄化協会や警察官による現場確認(申請から約1〜2週間後)

  6. 【審査期間】 警察署内・公安委員会での審査(標準処理期間:約55日)

  7. 【許可証交付】 警察署から呼び出しがあり、許可証を受領

  8. 【営業開始】 ※許可証を受け取るまでは営業できません

このスケジュールの中で、最も時間と労力を要するのが「3. 図面作成」と「5. 実査」の対応です。


なぜ風営法の「図面」は超難関なのか?

ご自身で申請しようとした方の9割以上が挫折するのが、この図面作成です。 「内装業者からもらった図面をそのまま出せばいいのでは?」と思われるかもしれませんが、それでは100%通りません。

風営法で求められる図面は、建築図面とは全く異なる独自のルール(風営法独自の求積方法)で作成する必要があるからです。

1. 「壁芯(かべしん)」ではなく「内法(うちのり)」

一般的な建築図面は、壁の中心線(壁芯)で面積を計算します。しかし、風営法では「壁の内側(目に見えている表面)」で測った面積(内法)を使用します。 壁紙の厚さやタイルの厚みまで考慮し、レーザー距離計を使ってミリ単位で実測し直す必要があります。

2. 必要な図面の種類が膨大

単なる平面図だけでなく、以下のような専門的な図面が求められます。

  • 営業所求積図: 営業所全体の面積計算書

  • 客室求積図: 「客室」と「調理場」などを明確に区分けした計算書

  • 照明・音響設備図: 電球1個、スピーカー1個の位置とワット数まで記載

  • 椅子・テーブル詳細図: イスの高さ、テーブルのサイズ、配置数を記載

3. 「客室」の面積要件

例えば1号営業(社交飲食店)の場合、客室の床面積は「1室あたり16.5平方メートル以上(和室なら9.5平方メートル以上)」でなければなりません。 図面上の計算でこの数値を満たしていることを、複雑な計算式(三角形や台形に切り分けて計算する三斜求積法など)を用いて証明する必要があります。


緊張の瞬間!警察署の「実査(じっさ)」では何を見られる?

申請書が受理されてから約1〜2週間後、警察署の担当官、もしくは委託を受けた「風俗環境浄化協会」の調査員が店舗へやってきます。これを「実査」と呼びます。

提出した図面を見ながら、「図面通りに店ができているか」「風営法の設備要件を満たしているか」を厳しくチェックされます。

チェックポイント①:寸法(メジャーによる実測)

調査員はメジャーを持参し、客室の幅やテーブルのサイズを実際に測ります。 ここで図面の数値と実際の寸法に大きな誤差(数センチ単位でも指摘されることがあります)があると、「図面修正の上、再提出」を命じられます。

チェックポイント②:見通しを妨げる設備(1メートル規制)

風俗営業の店内には、「高さ1メートル以上の見通しを妨げる物(遮蔽物)」を置いてはいけません。

  • 背の高い観葉植物

  • 高すぎる椅子の背もたれ

  • 間仕切り(パーティション)

  • グラス棚やボトル棚

これらが床から1メートルを超えている場合、その場で撤去を求められるか、不適合として許可が下りません。「飾り棚」なども要注意です。

チェックポイント③:照明の明るさと「スライダックス」

店内は「5ルクス超」の明るさを保つ必要があります。照度計を使って実際の明るさを測ります。 また、「スライダックス(調光器・つまみで明るさを調整できるスイッチ)」は、店内を暗くできてしまうため、原則として設置が認められません(または、暗くならないよう固定措置が必要)。内装工事でうっかり調光スイッチを付けてしまい、検査当日に指摘されて工事やり直しになるケースが後を絶ちません。

チェックポイント④:鍵(施錠設備)

客室の出入り口に「鍵」をかける設備があってはいけません(VIPルームなどは特に注意)。内側から鍵がかかる構造になっていると、風紀を乱す密室とみなされるため、鍵を取り外す必要があります。


オープン予定日に間に合わせるために

風営法の審査期間(標準処理期間)は、「申請が受理されてから約55日(土日祝除く実働日数)」とされています。つまり、順調にいっても約2ヶ月かかります。

もし、実査で不備が見つかり「指摘事項」が出ると、それを改善し、報告書を出し、再検査を受けるまで審査時計がストップしてしまいます。 「来月からオープンしたいから急いで!」というご依頼をよく頂きますが、警察の審査期間だけはどうやっても短縮することはできません。

したがって、最短でオープンするためには、「一発で受理される完璧な図面を作成し、一発で実査をクリアする」こと以外に道はないのです。


記事のまとめ

  • スケジュール感: 準備から許可まで3ヶ月程度は見ておくべき。

  • 図面の難易度: 「内法」での実測や「求積計算」など、専門知識が必須。

  • 実査の厳しさ: 1メートル以上の遮蔽物、調光器(スライダックス)、鍵の有無は絶対チェックされる。

  • プロに頼む価値: 図面作成の手間削減だけでなく、「実査の一発合格」による最短オープンの実現。

「内装工事が終わってから相談しよう」では手遅れになることがあります(調光器や壁の位置など)。図面作成や実査対応に不安があるオーナー様は、工事着工前の段階から行政書士にご相談いただくことを強くお勧めいたします。

コラムを書いた人

篠原 博之

行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表

個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属

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