【初めての外国人採用】技人国ビザ申請準備の完全ガイド2026|企業が採用前に確認すべきこと
外国人ビザ申請(在留資格)
公開日:2026/8/28
更新日:2026/8/29
「初めて外国人を採用することになったけれど、ビザの手続きは何から始めればいいのだろう?」
外国人採用を初めて行う中小企業の代表者や人事担当者から、よく聞かれる疑問です。
日本人を採用する場合と外国人を採用する場合の大きな違いのひとつが、採用予定者がその会社で予定している仕事を行える在留資格を持っているか確認する必要があることです。
特に、エンジニア、設計、CAD、営業、マーケティング、経理、通訳などの仕事でよく利用されるのが、在留資格「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる技人国ビザです。
しかし、
大学を卒業していれば必ず取得できる
ホワイトカラーの仕事なら技人国で働ける
すでに技人国を持っている外国人なら、そのまま採用できる
必要書類だけそろえれば許可される
というわけではありません。
初めて外国人を採用する企業こそ、内定を出してからビザを考えるのではなく、採用を決める段階から在留資格を確認することが重要です。
この記事では、初めて外国人採用を行う中小企業に向けて、技人国ビザ申請で確認しておきたいポイントを順番に解説します。
- 初めて外国人を採用するときは、まず「現在の在留資格」を確認する
- 海外に住んでいる外国人を採用する場合
- 日本で留学している外国人を採用する場合
- すでに技人国ビザを持つ外国人を採用する場合
- そもそも「技術・人文知識・国際業務」とは?
- 初めての技人国申請で確認すべき3つのポイント
- 1.仕事内容が技人国に該当するか
- 2.本人の学歴・専攻・職歴と仕事内容が合っているか
- 3.給与などの雇用条件に問題がないか
- 初めての外国人採用では「仕事内容」を先に決める
- 入社後に現場研修をさせることはできる?
- 技人国ビザ申請では会社側の資料も審査される
- 2026年の技人国申請で注意したい変更点
- 初めての外国人採用でよくある5つの失敗
- 1.内定を出してからビザを確認する
- 2.仕事内容を「営業」「エンジニア」だけで考える
- 3.外国人本人に申請をすべて任せる
- 4.「前の会社でも技人国だったから大丈夫」と考える
- 5.入社予定日を先に確定してしまう
- 初めてなら外国人雇用のビザ申請代行サービスを利用すべき?
- 初めて外国人を採用する企業向けチェックリスト
- よくある質問
- Q.初めて外国人を採用します。最初に何を確認すればよいですか?
- Q.外国人が大学を卒業していれば技人国を取得できますか?
- Q.留学生に内定を出したら、すぐ働いてもらえますか?
- Q.すでに技人国を持っている外国人ならそのまま採用できますか?
- Q.技人国申請は会社自身でできますか?
- Q.いつからビザ申請の準備を始めればよいですか?
- まとめ|初めての外国人採用は「採用前の確認」が重要
初めて外国人を採用するときは、まず「現在の在留資格」を確認する
外国人採用で最初に確認したいのが、採用予定者の現在の状況です。
同じ「外国人を採用する」というケースでも、現在どこに住んでいるか、どの在留資格を持っているかによって必要な手続きが変わります。
海外に住んでいる外国人を採用する場合
海外在住者を日本へ呼び寄せる場合、一般的には会社側で在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行います。
認定証明書が交付された後、本人が海外の日本大使館・領事館等で査証(ビザ)の手続きを行い、日本へ入国する流れになります。
日本で留学している外国人を採用する場合
現在「留学」の在留資格を持っている留学生を正社員として採用する場合には、原則として「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへの在留資格変更許可申請が必要です。
内定を出しただけでは、留学生がそのままフルタイムで働けるようになるわけではありません。
すでに技人国ビザを持つ外国人を採用する場合
すでに「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている外国人が転職する場合、転職先で行う仕事内容も技人国に該当するのであれば、在留期限が残っている間は必ずしも新たな在留資格変更申請が必要になるわけではありません。
ただし、前職で許可された仕事内容と、新しい会社で行う仕事内容が同じとは限りません。
転職後の活動が現在の在留資格に該当するか不安な場合には、「就労資格証明書」の交付申請によって確認する方法もあります。出入国在留管理庁も、転職後の業務が現在の在留資格に含まれるか確認したい場合には、就労資格証明書を利用できると案内しています。
つまり、初めて外国人を採用するときの第一歩は、
「この人は外国人だからビザ申請が必要」と考えるのではなく、「現在どの在留資格を持ち、今回どの仕事を担当してもらうのか」を確認することです。
そもそも「技術・人文知識・国際業務」とは?
技術・人文知識・国際業務は、専門的な知識や技術、外国文化に基づく能力などを必要とする仕事に就く外国人を対象とした在留資格です。
代表的な業務には、たとえば次のようなものがあります。
分野 | 主な仕事の例 |
|---|---|
技術 | ITエンジニア、プログラマー、設計、CAD、機械・電気系技術職など |
人文知識 | 経理、財務、法務、企画、マーケティング、営業など |
国際業務 | 翻訳、通訳、海外取引、語学指導、広報、デザインなど |
重要なのは、職種名だけではなく、実際に何をするのかです。
たとえば会社が「エンジニア」として採用したとしても、実際には工場のライン作業が中心であれば、技人国に該当しない可能性があります。
出入国在留管理庁も、技人国に該当する活動がごく一部で、それ以外の大部分が特段の技術・知識を必要としない仕事や反復訓練によって行える仕事である場合には、技人国に該当しないとしています。citeturn248631search32
「どんな肩書きで採用するか」ではなく、「実際にどんな業務を担当してもらうか」が審査では重要になります。
初めての技人国申請で確認すべき3つのポイント
技人国ビザの申請を検討するときは、まず次の3点を確認すると整理しやすくなります。
1.仕事内容が技人国に該当するか
最初に確認したいのは仕事内容です。
技人国は、専門的な技術・知識などを必要とする仕事を対象としています。
そのため、
「外国人スタッフだから海外担当にする」
「将来的には営業をしてもらうが、当面は現場作業をしてもらう」
といった曖昧な採用計画では注意が必要です。
何を担当するのか、1日の業務の中でどのような仕事を行うのかまで具体的に整理しておくことが重要です。
2.本人の学歴・専攻・職歴と仕事内容が合っているか
次に確認するのが、本人の経歴です。
技術・人文知識分野では、原則として、関連する科目を専攻して大学等を卒業していることや、一定の実務経験を有することなどが基準となります。
実務経験による場合には、原則10年以上の関連業務経験が基準とされています。
一方、国際業務については、翻訳・通訳、語学指導、広報、海外取引など一定の業務について、原則3年以上の関連実務経験が必要とされる場合があります。大学卒業者が翻訳・通訳・語学指導を行う場合などには例外があります。
大学卒業者については専攻と仕事内容との関連性が比較的柔軟に判断される一方、専門学校卒業者については、履修した内容と仕事内容との関連性がより重要になります。
そのため、採用前には少なくとも、
最終学歴
学部・学科・専攻
履修内容
職歴
今回担当する仕事内容
を確認しておきましょう。
3.給与などの雇用条件に問題がないか
技人国には、本人の学歴や仕事内容だけでなく待遇面の基準もあります。
外国人だからという理由で、日本人社員より著しく低い給与を設定することはできません。
基準省令では、日本人が同じ仕事に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けることが求められています。
給与額だけを見て判断するのではなく、
職種
経験
年齢
社内の賃金体系
同じ仕事をする日本人社員の待遇
などを踏まえて説明できる状態にしておくことが大切です。
初めての外国人採用では「仕事内容」を先に決める
技人国申請で特に重要なのが、仕事内容の整理です。
初めて外国人を採用する企業では、
「まず採用して、入社してから仕事を考えよう」
となってしまうことがあります。
日本人採用では珍しくない考え方ですが、外国人採用では注意が必要です。
在留資格の審査では、
外国人本人の学歴・経験
×
会社で行う仕事内容
の組み合わせが確認されるためです。
たとえば建設会社で外国人材を採用するとします。
大学で建築を学んだ人に、
CADによる図面作成
施工図の作成・修正
工程管理
積算
技術資料の作成
などを担当してもらうのであれば、技人国との関係を説明しやすくなります。
一方、
資材の運搬
清掃
単純な組立作業
建設現場での作業そのもの
などが中心となる場合には、技人国との適合性を慎重に検討する必要があります。
求人票を作る段階から在留資格を意識する。
これが初めての外国人採用で失敗を防ぐ重要なポイントです。
入社後に現場研修をさせることはできる?
「最初の数か月だけ現場研修をさせたい」という相談もよくあります。
技人国に該当しない仕事が一切できないというわけではありません。
出入国在留管理庁は、日本人の大卒社員などにも同様に実施される研修であり、その後の専門業務を行うために必要な実務研修で、在留期間全体の大半を占めるものではない場合などには、一定の範囲で認められるとしています。
ただし、
「とりあえず1年間現場で働いてもらい、その後事務所へ異動する」
といったケースまで当然に認められるわけではありません。
研修を予定している場合には、
なぜその研修が必要なのか
日本人社員にも同様の研修があるか
研修期間はどの程度か
研修終了後にどの専門業務を担当するのか
まで整理しておくとよいでしょう。
技人国ビザ申請では会社側の資料も審査される
初めて申請する企業が見落としやすいのが、外国人本人だけではなく、採用する会社についても資料を提出するという点です。
勤務先のカテゴリーなどによって提出資料は異なりますが、企業によっては、
雇用契約書・労働条件通知書
登記事項証明書
会社案内
事業内容を説明する資料
直近年度の決算書
法定調書合計表
給与支払事務所等の開設届
事業計画書
などが必要になります。
出入国在留管理庁の提出書類一覧でも、カテゴリー3・4の企業については、活動内容や企業の事業内容などを示す資料が定められています。
特に、
設立したばかりの会社
売上規模がまだ小さい会社
外国人採用が初めての会社
採用する外国人の仕事内容が会社の事業内容から分かりにくい会社
では、単に指定された資料を提出するだけではなく、「なぜこの会社でこの外国人が必要なのか」を分かりやすく説明することが重要になるケースがあります。
2026年の技人国申請で注意したい変更点
2026年4月15日から、技術・人文知識・国際業務の申請について一部提出資料の取扱いが変更されています。
カテゴリー3または4に該当する場合には、「所属機関の代表者に関する申告書」が新たに提出資料として追加されています。
また、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する一定のケースでは、業務で使用する言語についてCEFR・B2相当の言語能力を証明する資料が求められる場合があります。
入管関係の手続きは提出資料や運用が変更されることがあります。
そのため初めて申請する場合には、過去の記事や数年前の申請例だけを参考にせず、申請時点の最新の提出書類を確認することが重要です。
初めての外国人採用でよくある5つの失敗
1.内定を出してからビザを確認する
最も避けたいケースです。
学歴・専攻と仕事内容が合わず、内定後に「技人国では難しい」と判明する可能性があります。
できれば採用決定前に在留資格の適合性を確認しましょう。
2.仕事内容を「営業」「エンジニア」だけで考える
職種名だけでは在留資格を判断できません。
実際にどのような業務を行うのかまで具体化する必要があります。
3.外国人本人に申請をすべて任せる
本人が申請すること自体は可能ですが、会社側が作成・準備する資料も多くあります。
本人が説明している仕事内容と会社側の雇用契約書、求人情報などの内容が食い違わないよう注意しましょう。
4.「前の会社でも技人国だったから大丈夫」と考える
技人国は、どの会社でも無条件に働ける資格ではありません。
転職後の仕事内容についても、技人国に該当する活動である必要があります。
転職した外国人本人には、原則として契約機関の変更について14日以内の届出も必要です。
5.入社予定日を先に確定してしまう
在留資格変更や認定証明書交付申請には審査があります。
「○月1日に必ず入社できる」という前提で採用計画を組むのではなく、在留資格の手続きに必要な期間も考慮して採用スケジュールを組みましょう。
初めてなら外国人雇用のビザ申請代行サービスを利用すべき?
すべての技人国申請を専門家に依頼しなければならないわけではありません。
企業自身で申請することも可能です。
ただし、初めて外国人を採用する企業では、申請書の作成よりも「そもそも技人国で採用できるケースなのか」の判断が難しいことがあります。
たとえば、
学歴と仕事内容の関連性が分からない
専門学校卒業者を採用する
転職者を採用する
現場研修を予定している
新設会社で外国人を採用する
会社の事業内容と担当業務の関係が分かりにくい
海外から外国人材を呼び寄せる
複数の外国人を同時に採用する
といったケースでは、申請前にビザ申請専門家へ相談するメリットがあります。
外国人雇用のビザ申請代行サービスを選ぶ際には、単に「申請書を作ってくれるか」だけではなく、
採用予定者の経歴と仕事内容を申請前に確認してくれるか
を確認することをおすすめします。
初めての外国人採用では、書類作成そのものよりも、申請前の確認が重要だからです。
初めて外国人を採用する企業向けチェックリスト
外国人へ正式に内定を出す前に、次の項目を確認してみましょう。
□ 現在の在留資格を確認した
□ 在留期限を確認した
□ 最終学歴を確認した
□ 学部・学科・専攻を確認した
□ 卒業証明書などを確認できる
□ 職歴を確認した
□ 入社後の仕事内容を具体的に決めた
□ 専攻・職歴と仕事内容の関係を確認した
□ 技人国に該当しない作業が中心になっていない
□ 給与が日本人社員と比較して適切である
□ 入社前に在留資格変更が必要か確認した
□ 海外在住者の場合は認定証明書の手続きを確認した
□ 入社予定日まで十分な期間を確保している
このチェックリストの中に判断できない項目がある場合には、内定後ではなく、できれば採用前の段階で専門家に確認すると安心です。
よくある質問
Q.初めて外国人を採用します。最初に何を確認すればよいですか?
まず、採用予定者の現在の在留資格と、入社後に担当してもらう仕事内容を確認してください。
そのうえで、本人の学歴・専攻・職歴と仕事内容が技人国の要件に合うか確認します。
Q.外国人が大学を卒業していれば技人国を取得できますか?
大学卒業だけで自動的に許可されるわけではありません。
本人の学歴だけでなく、会社で行う仕事内容が専門的な業務に該当することや、本人の経歴との関連性、給与などの条件も確認されます。
Q.留学生に内定を出したら、すぐ働いてもらえますか?
原則として、「留学」から就労可能な在留資格への変更許可を受けてからフルタイムで勤務を開始する必要があります。
採用予定日から逆算して在留資格変更の準備を進めましょう。
Q.すでに技人国を持っている外国人ならそのまま採用できますか?
新しい会社で行う仕事も「技術・人文知識・国際業務」に該当するのであれば、在留期限が残っている場合に必ずしも在留資格変更が必要とは限りません。
ただし、転職後の仕事内容が現在の在留資格に含まれるか分からない場合には、就労資格証明書によって確認する方法があります。
Q.技人国申請は会社自身でできますか?
可能です。
ただし、初めての外国人採用では、必要書類の作成以上に、仕事内容と本人の経歴が在留資格の要件に合っているかを判断することが重要です。
判断が難しい場合には、申請前に専門家へ相談する方法もあります。
Q.いつからビザ申請の準備を始めればよいですか?
外国人の採用を決定した後ではなく、採用候補者の学歴・職歴と担当業務がある程度分かった段階から確認を始めることをおすすめします。
在留資格の問題が判明してから採用計画を変更するより、採用前に確認した方が企業・外国人双方の負担を抑えられます。
まとめ|初めての外国人採用は「採用前の確認」が重要
初めて外国人を採用するときには、分からないことが多くて当然です。
しかし、最初から申請書の書き方を調べる必要はありません。
まず確認したいのは、
1.現在の在留資格
2.入社後の仕事内容
3.本人の学歴・専攻・職歴
4.雇用条件
5.必要となる在留資格の手続き
の5点です。
特に技術・人文知識・国際業務では、「本人の経歴」と「会社で担当する仕事」が重要なポイントになります。
初めて外国人を採用する企業で、
「この仕事内容で技人国を取得できるのか分からない」
「留学生に内定を出す前に確認したい」
「外国人雇用のビザ申請代行サービスにどこまで依頼すればいいのか分からない」
という場合には、正式に採用手続きを進める前に、在留資格を専門とする行政書士などへ相談することも選択肢のひとつです。
外国人採用とビザ申請を別々に考えるのではなく、採用計画の段階から在留資格を確認することが、初めての外国人採用をスムーズに進めるための第一歩です。
※本記事は2026年8月時点の制度・出入国在留管理庁公表資料をもとに作成しています。在留資格の審査は個別の事情によって判断されます。
この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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