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【2027年4月施行予定】永住者の在留資格取消し制度とは?2026年8月公表のガイドライン案を行政書士が解説

外国人ビザ申請(在留資格)

公開日:2026/8/29

更新日:2026/8/29

2026年8月4日、出入国在留管理庁は「永住者」の適正化に関する2つのガイドライン案を公表し、パブリックコメント(意見募集)を開始しました。

今回公表されたのは、

  • 永住許可に関するガイドラインの改定案

  • 永住者の在留資格の取消しに関するガイドライン案

です。

特に注目されているのが、2024年の入管法改正によって追加された「永住者」の在留資格取消事由です。

税金や社会保険料を支払わなかった場合には永住者でなくなってしまうのか、軽微な法令違反でも永住資格が取り消されるのかなど、不安を感じている方もいるかもしれません。

しかし、今回の制度は「少しでも税金の支払いが遅れたら永住資格が取り消される」というものではありません。

この記事では、2026年8月4日に出入国在留管理庁が公表したガイドライン案などをもとに、永住許可制度がどのように変わる予定なのか、永住者の在留資格が取り消される可能性があるのはどのような場合なのかを解説します。



2027年4月から永住許可制度の適正化が予定されています

2024年の入管法改正により、永住許可制度について、

① 永住許可要件の明確化

② 永住者の在留資格取消事由の追加

③ 国や地方公共団体の職員による通報規定の整備

などの措置が設けられました。

これらは2027年4月からの施行が予定されています。

これに先立ち、出入国在留管理庁は2026年8月4日、永住許可に関するガイドラインの改定案と、永住者の在留資格取消しに関するガイドライン案を公表しました。

出入国在留管理庁「『永住者』の適正化に係るパブリック・コメントの実施について」


なぜ永住者制度が見直されるのか

「永住者」は、他の多くの在留資格とは異なり、活動内容や在留期間について制限がありません。

また、永住許可を取得した後は、在留期間更新許可申請を行う必要もありません。

一方、出入国在留管理庁によれば、一部には永住許可を受けるために公租公課をまとめて支払ったものの、永住許可を受けた後には支払わなくなるなど、永住許可制度の趣旨に反する事例が生じているとされています。

そこで、永住許可後に在留状況が良好ではなくなった一部のケースについて、適切な在留管理を行えるようにすることが今回の制度改正の目的とされています。


永住許可の要件自体が新しく追加されるわけではありません

今回の制度改正について、「永住許可の要件が大幅に厳しくなる」と受け取られることがあります。

しかし、出入国在留管理庁は、今回の改正について、新たな永住許可要件を追加するものでも、許可要件を厳格化するものでもないと説明しています。

現在の永住許可でも、

  • 素行が善良であること

  • 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること

  • その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

などが要件となっています。

さらに、「日本国の利益に合する」と判断されるためには、納税、公的年金、公的医療保険の保険料納付、入管法上の届出などの公的義務を適正に履行していることが求められています。

今回の改正では、こうした公的義務の履行について法律上より明確にすることになります。


永住者の在留資格取消事由が追加されます

今回特に注目したいのが、「永住者」の在留資格取消事由の追加です。

改正入管法では、新たな取消事由として、

入管法上の一定の義務を遵守しない場合

故意に公租公課の支払いをしない場合

一定の刑罰法令に違反した場合

などが追加されます。

ただし、これらに形式的に該当したからといって、必ず永住者の在留資格が取り消されるわけではありません。


税金や社会保険料の支払いが遅れただけで永住資格が取り消される?

今回の制度改正で特に心配されているのが、公租公課の不払いです。

しかし、ポイントとなるのは単なる未払いではなく、「故意に公租公課の支払をしないこと」です。

そのため、病気や失業などの事情によって支払いが困難になった場合まで、一律に永住者の在留資格を取り消す制度ではありません。

また、出入国在留管理庁は、今回の制度について、永住許可後にその要件を満たさなくなった一部の悪質な者を対象とするものであり、大多数の永住者を対象とするものではないと説明しています。


在留カードをうっかり携帯しなかった場合は?

入管法では、永住者にも在留カードの携帯や有効期間更新、住居地に関する届出などの義務があります。

では、一度在留カードを持たずに外出しただけで、永住資格が取り消されるのでしょうか。

この点についても、出入国在留管理庁は、例えば「うっかり在留カードを携帯しなかった」「うっかり在留カードの有効期間更新申請をしなかった」といったケースで在留資格を取り消すことは想定していないとしています。

取消制度の対象となるのは、正当な理由なく入管法上の一定の義務を履行しないケースなどです。


取消事由に該当しても直ちに出国になるとは限りません

ここも今回の改正を理解するうえで重要なポイントです。

取消事由に該当した場合でも、直ちに「永住者」の在留資格を取り消して出国させる仕組みではありません。

法務大臣は、その外国人が引き続き日本に在留することが適当でないと認められる場合を除き、職権によって永住者以外の在留資格への変更を許可することとされています。

出入国在留管理庁は、多くの場合には「定住者」の在留資格を付与することになると説明しています。

つまり、

永住者のまま在留

というケースのほか、

永住者から定住者などへ変更して引き続き日本に在留

というケースも想定されています。

さらに、その後状況が改善すれば、再び永住許可を受けることも可能とされています。


実際の取消しでは個別事情が考慮されます

永住者は、日本で長期間生活し、家族や仕事、地域社会との関係を築いているケースが少なくありません。

そのため、在留資格の取消しや職権による在留資格変更については、慎重な運用が求められています。

国会の附帯決議でも、

  • 日本への定着性

  • 法令違反の悪質性

  • 個別の事情

などを厳正に判断し、既に日本に定住している永住者の利益を不当に侵害しないよう慎重に運用することが求められています。

今回公表されたガイドライン案も、外国人や関係者の予見可能性を高め、処分の公平性を確保するために作成されたものです。


永住許可をこれから申請する人への影響は?

これから永住許可申請を予定している方についても、公的義務の履行は引き続き非常に重要です。

現在の永住許可に関するガイドラインでも、納税、公的年金、公的医療保険の保険料納付などを適正に履行していることが求められています。

特に注意したいのは、申請時点で未納がないことだけでは十分ではないという点です。

現在のガイドラインでは、申請時点で納付済みであったとしても、当初の納付期限内に履行されていなかった場合には、原則として消極的に評価するとされています。

「永住申請をすることになってからまとめて支払えばよい」という考え方は避けるべきでしょう。

日頃から税金・年金・健康保険料などを期限内に納付することが重要です。


今回はまだ「ガイドライン案」の段階です

2026年8月4日に公表された内容について注意したいのは、現時点ではパブリックコメントに付されたガイドライン案であるということです。

そのため、実際に施行される際のガイドラインについては、今後公表される最終的な内容を確認する必要があります。

インターネット上では「税金を滞納すると永住権が取り消される」といった強い表現で紹介されることもありますが、実際の制度はより細かな要件や個別判断を前提としています。

永住者本人やこれから永住許可を申請する方は、正確な情報を確認することが大切です。


まとめ|永住者制度の変更は正確に理解することが重要です

2027年4月から予定されている永住許可制度の適正化では、永住許可要件の明確化や、永住者の在留資格取消事由の追加などが行われます。

特に注目されているのが、

① 入管法上の一定の義務違反

② 故意による公租公課の不払い

③ 一定の刑罰法令違反

などを理由として、永住者の在留資格が取り消される可能性が設けられることです。

一方で、軽微なミスや、やむを得ない事情による公租公課の未払いによって、直ちに永住資格が取り消される制度ではありません。

取消事由に該当した場合でも、個別事情を考慮したうえで永住者のまま在留する場合や、「定住者」など別の在留資格に変更して日本での在留を継続する場合も想定されています。

行政書士しのはら事務所では、永住許可申請をはじめとした在留資格に関するご相談を承っています。

永住許可申請に必要な納税・年金・健康保険の状況について不安がある場合や、ご自身が永住許可の要件を満たしているか分からない場合なども、お気軽にご相談ください。

※本記事は2026年8月29日時点で公表されている情報をもとに作成しています。今回公表されたガイドラインは案の段階であり、今後内容が変更される可能性があります。

この記事を書いた人

篠原 博之

行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表

個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属

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