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【2026年版】墓じまいの全手順|費用・役所手続きを行政書士が図解

終活

公開日:2025/8/25

更新日:2026/1/10

お墓の管理に悩む方々が増える中、「墓じまい」は現代の供養形態として注目されています。本記事では、墓じまいの定義から具体的な手順、費用相場、そして永代供養との違いまで徹底解説します。墓じまいが必要となるケースや、親族間の同意取得など重要な注意点、さらには墓じまいの後の供養方法まで網羅。「お墓の管理が難しい」「遠方で墓参りができない」といった悩みを抱える方々に、最適な選択肢を提示します。墓じまいと永代供養の違いを理解し、あなたやご家族にとって最善の供養方法を見つけるためのガイドとしてご活用ください。

1. 墓じまいとは?

1.1 墓じまいの定義と背景

墓じまいとは、これまで家族が管理してきたお墓を整理し、撤去する一連の手続きのことを指します。正式には「改葬(かいそう)」と呼ばれ、お墓に眠る遺骨を取り出し、別の場所へ移すことを意味します。

近年、墓じまいを行う家庭が増加しています。その背景には、以下のような社会的変化があります:

  • 少子高齢化による跡継ぎ問題

  • 核家族化による管理の困難さ

  • 遠方への移住による墓参りの難しさ

  • 価値観の多様化による供養方法の変化

厚生労働省の統計によると、2019年には全国で約8万件の改葬許可申請があり、この10年で約1.5倍に増加しています。この数字からも、墓じまいが現代の葬送文化の中で一般的な選択肢になりつつあることがわかります。

墓じまいは単にお墓を処分するだけではなく、これまでの供養の形を見直し、新たな形で先祖を敬う機会でもあります。厚生労働省の墓地・埋葬等に関する情報によれば、墓じまいは法的にも認められた正当な手続きです。

1.2 墓じまいが必要となるケース

どのような状況で墓じまいを検討すべきなのでしょうか。以下に代表的なケースをご紹介します:

ケース

詳細

後継者不在

子どもがいない、または子どもが墓の継承を望まないケース

遠方への移住

仕事や家族の事情で遠方に移り住み、墓参りが困難になったケース

経済的負担

墓地の管理費や年間の供養費用が家計を圧迫するケース

墓地契約の終了

墓地の使用期限が切れる、または霊園の閉鎖が決まったケース

親族間の事情

家系の分家や養子縁組により、墓の管理が複雑化したケース

特に近年は「終活」の一環として、自身の死後に子どもや親族に負担をかけないよう、生前に墓じまいを行う方も増えています。全日本墓園協会の調査によれば、60代以上の約4割が「自分の代でお墓を終わらせたい」と考えているというデータもあります。

また、お墓の形態そのものへの考え方も変化しています。従来の「家」単位での墓から、夫婦や個人単位の墓へのシフト、さらには樹木葬や散骨など、新しい供養スタイルを求める人も増えており、そのための墓じまいを選択するケースも見られます。

ただし、墓じまいは一度行うと元に戻すことが難しい決断です。親族間での十分な話し合いと合意形成が不可欠であり、特に宗教的な観点からの配慮も必要となります。墓じまいを検討する際は、家族の意見を尊重しながら、将来の供養方法についても併せて考えることが重要です

2. 墓じまいの具体的な手順

墓じまいは、複数の手続きや作業を段階的に行う必要があります。ここでは、墓じまいを行う際の一般的な手順を詳しく解説します。

2.1 お寺や霊園への連絡と相談

墓じまいの第一歩は、現在お墓がある寺院や霊園の管理者に連絡することです。多くの場合、墓地の使用には「永代使用権」という権利が関わっているため、契約内容の確認が必要です。

この段階で確認すべき事項は以下の通りです:

  • 墓じまいの可否

  • 返還金(墓地返還金)の有無と金額

  • 必要な書類や手続きの詳細

  • 墓じまい後の供養方法の提案

寺院によっては独自の規則があるため、必ず事前に相談しましょう。檀家寺がある場合は、檀家解消の手続きについても同時に確認することをおすすめします

また、この段階で改葬先(遺骨の移動先)も決めておく必要があります。新しいお墓や永代供養、手元供養など、選択肢を検討しておきましょう。

2.2 遺骨の取り出しと移動

お墓から遺骨を取り出し、新しい安置場所へ移動させる手続きを「改葬(かいそう)」と言います。改葬には行政手続きが必要で、以下の書類を準備する必要があります:

必要書類

入手先

備考

改葬許可申請書

現在の墓地がある市区町村役場

申請者は墓の名義人または相続人

埋葬証明書

現在の墓地管理者(寺院・霊園)

遺骨が埋葬されていることの証明

受入証明書

移動先の墓地管理者

新しい埋葬地での受け入れ証明

墓地使用許可証

現在の墓地管理者

墓地の使用権を証明する書類

改葬許可が下りたら、実際に遺骨を取り出す作業を行います。この作業は通常、以下の流れで進められます:

  1. 墓石の開口(石材店に依頼)

  2. 納骨室からの遺骨取り出し

  3. 取り出した遺骨の確認と整理

  4. 新しい骨壺や骨袋への収納

  5. 改葬先への運搬

遺骨の取り出しは、できれば家族が立ち会うことをおすすめします。また、季節や天候を考慮し、雨天や厳冬期を避けて計画するとよいでしょう。

改葬の手続きについては、厚生労働省の埋葬等に関する情報ページも参考になります。

2.3 墓石の撤去と更地化

遺骨を取り出した後は、墓石の撤去作業に入ります。この作業は専門の石材店に依頼するのが一般的です。墓石撤去の工程は以下の通りです:

  1. 墓石の解体(カロート・外柵・墓誌などを含む)

  2. 解体した石材の搬出

  3. 基礎部分の撤去

  4. 更地への復元(砂利敷きなど)

墓石の大きさや複雑さによって作業内容は異なりますが、通常1〜2日で完了します。撤去した墓石の処分方法としては、以下の選択肢があります:

  • 石材店による処分(有料)

  • 新しい墓地への移設(可能な場合)

  • 再利用(お地蔵様などへの加工)

墓石には故人の魂が宿るという考え方もあるため、単なる廃棄物として扱わず、適切な処分方法を選ぶことが重要です。多くの石材店では、墓石の処分前に簡単な供養を行ってくれることもあります。

墓石の撤去と処分については、全日本石材産業協会に加盟している信頼できる石材店に相談することをおすすめします。

2.4 閉眼供養・魂抜き

墓じまいの最終段階として、お墓に宿る魂を鎮めるための「閉眼供養」または「魂抜き」と呼ばれる儀式を行います。これは仏教の考え方に基づいた供養で、お墓から仏様の魂を抜き取る意味があります。

閉眼供養は通常、以下のような流れで執り行われます:

  1. 住職による読経

  2. 墓石の魂を抜く儀式

  3. 最後のお参り

  4. 感謝の気持ちを伝える

寺院や宗派によって儀式の内容や呼び方は異なりますが、長年お世話になったお墓との別れを丁寧に行うことで、故人の魂も安らかに新しい場所へ移ることができるとされています

閉眼供養にかかる費用は3〜5万円程度が一般的ですが、寺院や地域によって異なります。事前に寺院側に確認しておくとよいでしょう。

法要の形式についての詳細は、曹洞宗の法要儀式についての解説などを参考にすることができます。

以上が墓じまいの基本的な手順です。一連の作業は、計画から完了まで通常2〜3ヶ月ほどかかることが多いため、余裕を持ったスケジュール立てが重要です。また、季節によっては石材店の予約が取りにくくなることもあるため、早めの準備を心がけましょう。

3. 墓じまいにかかる費用相場

墓じまいを行う際には、様々な費用が発生します。ここでは墓じまいに必要な費用の相場を詳しく解説します。費用は墓石の大きさや地域によって異なるため、参考値としてご確認ください。

3.1 墓石の撤去費用

墓じまいの中で最もコストがかかるのが墓石の撤去作業です。墓石の大きさや種類、設置されている場所の条件によって費用は大きく変動します。

墓石の種類・大きさ

撤去費用の目安

備考

小型墓石(1㎡未満)

10〜15万円

一般的な個人墓の小型サイズ

中型墓石(1〜2㎡)

15〜25万円

一般的な家族墓サイズ

大型墓石(2㎡以上)

25〜50万円以上

大きな家族墓や代々のお墓

墓石撤去費用には、墓石の解体・撤去作業だけでなく、運搬費や処分費も含まれます。墓石は産業廃棄物として適正に処分する必要があり、その処理費用も考慮しなければなりません。

また、墓地の立地条件によっても費用は変わります。狭い場所や山の中にある墓地の場合、作業が困難になるため追加料金が発生することがあります。全日本石材産業協会によると、アクセスが困難な場所では基本料金の20〜30%増しになることが一般的とされています。

3.2 遺骨の改葬費用

墓じまいでは、お墓から遺骨を取り出して別の場所へ移す「改葬(かいそう)」の手続きが必要です。改葬にかかる費用は主に行政手続きの費用と新たな埋葬先への費用に分けられます。

改葬関連費用項目

費用の目安

備考

改葬許可申請手数料

1,000〜3,000円

自治体によって異なる

埋葬証明書発行手数料

300〜1,000円

自治体によって異なる

お寺の離檀料

3〜10万円

菩提寺から離れる場合に必要

墓地の返還手数料

0〜5万円

霊園や墓地によって異なる

改葬の際は行政手続きだけでなく、菩提寺がある場合は離檀料(りだんりょう)が必要になることがあります。これは寺院との関係を解消する際に支払う費用で、お寺によって金額に差があります。

厚生労働省の資料によると、改葬手続きは自治体によって必要書類や手数料が異なるため、事前に確認することが重要です。

3.3 永代供養にかかる費用

墓じまい後の選択肢として多いのが永代供養です。永代供養にかかる費用は供養の形態によって大きく異なります。

永代供養の形態

初期費用の目安

管理費・年間費用

納骨堂

15〜50万円

0〜1万円/年

樹木葬

20〜40万円

多くの場合不要

合同墓

5〜20万円

多くの場合不要

個別型永代供養墓

30〜80万円

0〜1.5万円/年

永代供養の費用は一括で支払うケースが多く、その後の管理費や年間費用が不要なプランも多く存在します。ただし施設によって料金体系は異なるため、複数の施設を比較検討することをおすすめします。

全日本宗教用具協同組合の調査によると、近年は低価格の永代供養プランも増えており、10万円以下で永代供養が可能な施設も登場しています。

3.4 その他諸費用

墓じまいでは上記以外にも様々な費用が発生する可能性があります。主な諸費用には以下のようなものがあります。

費用項目

費用の目安

備考

閉眼供養・魂抜き料

3〜10万円

墓石から魂を抜く儀式の費用

交通費・宿泊費

実費

遠方の場合必要

相談料・調査費

0〜5万円

専門業者に相談する場合

戒名料・読経料

3〜10万円

僧侶に読経を依頼する場合

特に注意したいのが「閉眼供養」や「魂抜き」と呼ばれる儀式の費用です。これは墓石に宿る魂を抜く儀式で、宗派や地域の慣習によって必要性や金額が大きく異なります。事前に菩提寺や地域の習慣を確認しておくことが重要です。

また、墓じまいの際は親族が集まることも多いため、交通費や食事代なども考慮しておく必要があります。特に遠方にお墓がある場合は、宿泊費などの追加費用も発生します。

国民生活センターによると、墓じまいに関するトラブルも増加傾向にあるため、見積もりは複数の業者から取り、内訳を明確にしてもらうことが大切です。相場より著しく安い場合や高い場合は注意が必要です。

墓じまいの総費用は、お墓の状況や選択する供養方法によって10万円程度から100万円以上まで幅広く変動します。計画的に進めるためにも、事前に十分な情報収集と費用の見積もりを行うことをおすすめします。

4. 墓じまいの注意点

墓じまいは、故人の遺骨を移動させるという大切な作業です。しかし、手続きを始める前に知っておくべき重要なポイントがいくつかあります。ここでは、墓じまいを行う際の主な注意点について詳しく解説します。

4.1 親族間の同意

墓じまいを行う場合、まず最も重要なのが親族間の合意形成です。お墓は一族の共有財産という側面があるため、勝手に一人で決めることはトラブルの原因となります。

墓じまいを行う前に、必ず親族全員の同意を得ることが大切です。特に、故人の子孫や親族間で意見が分かれる場合もあるため、事前に十分な話し合いを行いましょう。

主な確認事項としては以下のようなものがあります:

  • 墓じまいの必要性についての共通理解

  • 遺骨の移動先(永代供養・樹木葬・手元供養など)

  • 費用の負担方法

  • 今後の供養方法

特に遠方に住む親族や疎遠な親族とも連絡を取り、後々のトラブルを防ぐことが重要です。場合によっては「親族会議の議事録」を作成しておくと安心です。

4.2 手続きの期間

墓じまいは一日で完了する作業ではありません。行政手続きから始まり、お寺や霊園との調整、業者の手配など、複数の段階を経る必要があります。

手続き

所要期間の目安

備考

改葬許可申請

1〜2週間

役所の混雑状況により変動

お墓の撤去工事

1〜3日

墓石の大きさや地域により変動

新しい埋葬先の準備

1週間〜数ヶ月

移動先の状況による

閉眼供養

1日

お寺の都合による

全体として、墓じまいの手続き完了までには通常1〜3ヶ月程度かかると考えておくべきです。特に、お盆やお彼岸などの繁忙期は寺院や霊園、石材店なども込み合うため、余裕を持ったスケジュール調整が必要です。

また、改葬先が決まっていない状態で墓石だけを撤去すると、遺骨の一時保管費用が発生することもあります。計画的に進めることで余計な費用を抑えられます。

4.3 悪徳業者に注意

近年、墓じまい需要の高まりに便乗した悪徳業者の存在が問題となっています。適正価格よりも大幅に高額な費用を請求されるケースや、工事の質が低いケースが報告されています。

業者選びは複数の見積もりを比較し、実績や口コミを十分に確認することが重要です。具体的なチェックポイントとしては以下のようなものがあります:

  • 石材店や霊園からの紹介か、独自に調べた業者か

  • 見積書の内訳が明確で、追加費用の可能性がないか

  • 実績や施工例が確認できるか

  • 契約前に現地確認を行ってくれるか

  • 国民生活センターなどで苦情情報がないか

また、契約時には必ず書面で内容を確認し、口頭での約束だけで進めないようにしましょう。工事内容、費用、スケジュール、アフターフォローなど、細かい点まで確認することが大切です。

墓じまい工事後の「更地確認」も忘れずに行いましょう。墓石の基礎部分が残っていたり、廃材が適切に処理されていなかったりするケースもあります。契約時に「更地返還」の条件を明記しておくと安心です。

また、全日本石材産業協会などの業界団体に加盟している業者を選ぶことも、信頼性の目安になります。

墓じまいは一生に一度あるかないかの経験です。十分な情報収集と準備をして、故人への敬意を持って進めることが大切です。

5. 永代供養とは?

永代供養とは、お寺や霊園が責任を持って、将来にわたって供養を続けてくれるシステムです。近年の少子高齢化や核家族化により、お墓の継承者がいないケースが増え、注目されています。通常のお墓と違い、子孫による管理や供養の必要がなく、「お墓の心配をせずに眠りたい」という方や「子どもに負担をかけたくない」という方に選ばれています。

厚生労働省の調査によると、永代供養を選ぶ世帯は年々増加しており、特に都市部ではその傾向が顕著です。永代供養は墓じまいの選択肢としてだけでなく、最初からの選択肢として検討する人も増えています

5.1 永代供養の種類

永代供養には、様々な形態があります。それぞれの特徴を理解し、自分や家族に合った形を選ぶことが大切です。

5.1.1 納骨堂

納骨堂は、寺院や霊園の建物内に遺骨を安置する施設です。個別に小さなスペースが用意され、そこに骨壺を納めます。屋内にあるため、天候に左右されず、いつでも参拝できるメリットがあります。

納骨堂には、以下のような種類があります:

  • ロッカー式:引き出しのように骨壺を収納するタイプ

  • 仏壇式:小さな仏壇のように、扉を開けて参拝するタイプ

  • 集合墓碑型:複数の遺骨を一つの墓石の下に納めるタイプ

厚生労働省の調査によると、特に都市部では納骨堂を選ぶ人が増加しており、将来的な管理の不安がない点が評価されています。

5.1.2 樹木葬

樹木葬は、樹木の下や周辺に遺骨を埋葬し、その樹木を墓標とする自然志向の埋葬方法です。環境に優しく、自然に還りたいという願いを叶える選択肢として人気が高まっています。

樹木葬には主に以下の形式があります:

形式

特徴

費用目安

個別型

一本の木の下に一家族の遺骨を埋葬

30万円〜80万円

共同型

一本の木の下に複数の家族の遺骨を埋葬

10万円〜40万円

公園型

広い敷地内の樹木の下に埋葬

20万円〜60万円

樹木葬は環境省が推進する持続可能な取り組みの一環としても注目されており、エコロジカルな選択肢として評価されています。

5.1.3 合同墓

合同墓(合祀墓)は、複数の遺骨を一つの場所にまとめて埋葬する方法です。個別の区画や墓石はなく、多くの方と共に眠る形になります。費用が比較的安く、管理の手間がかからないのが特徴です。

合同墓には以下のようなタイプがあります:

  • 一般合同墓:特に制限なく誰でも利用できるタイプ

  • 宗派別合同墓:特定の宗派の方のみが利用できるタイプ

  • 地域別合同墓:特定の地域出身者のみが利用できるタイプ

合同墓は一度納骨すると、個別に取り出すことができなくなる点に注意が必要です。そのため、将来的な選択の余地を残したい場合は、別の永代供養の形を検討することをおすすめします。

5.2 永代供養のメリット・デメリット

永代供養を選ぶ際は、そのメリットとデメリットをしっかり理解しておくことが大切です。

5.2.1 メリット

  • 子孫に墓の管理・維持の負担をかけない

  • 一般的なお墓と比べて費用が安い場合が多い

  • 墓地の継承問題に悩む必要がない

  • 移動や引っ越しが多い家族でも安心

  • 宗派を問わない施設も多い

全日本石材産業協会の調査によると、永代供養を選ぶ人の75%以上が「子孫への負担軽減」を理由に挙げています。

5.2.2 デメリット

  • 個別の墓石や区画がない場合が多く、分かりやすい供養の場所がなくなる

  • 契約内容によっては一定期間後に合祀される場合がある

  • 施設によっては参拝できる時間や日が限られる

  • 後から家族や親族を同じ場所に入れられない場合がある

  • 寺院や霊園の経営が継続できなくなった場合の保証がない

永代供養を選ぶ際は、契約内容をしっかり確認し、何年間供養が続けられるのか、その後どうなるのかを明確にしておくことが重要です。「永代」と言っても、具体的な年数は施設によって異なります。

また、永代供養の費用は一般的に15万円〜50万円程度ですが、立地や施設の充実度によって大きく変動します。都心の人気施設では100万円を超える場合もあります。費用と内容のバランスを考慮し、複数の施設を比較検討することをおすすめします。

永代供養は、お墓の維持管理や継承の心配がない点で安心感がありますが、家族で集まって供養する場が少なくなるというデメリットもあります。家族の価値観や将来の状況を考慮して、慎重に選択することが大切です。

6. 墓じまいと永代供養の違い

墓じまいと永代供養は、どちらもお墓に関する重要な選択肢ですが、その目的や方法、費用面において大きな違いがあります。ここでは両者の違いを詳しく解説し、それぞれの特徴を比較していきます。

6.1 費用面での違い

墓じまいと永代供養では、発生する費用の種類や金額に大きな違いがあります。

項目

墓じまい

永代供養

初期費用

墓石撤去費用(15〜50万円)
改葬許可申請料(約1万円)
閉眼供養(3〜10万円)

永代供養料(10〜100万円)
納骨堂使用料(20〜50万円)
埋葬料(5〜20万円)

継続費用

基本的になし(新たな供養方法による)

基本的になし(管理費込みが多い)

総費用目安

30〜80万円程度(+新たな供養方法の費用)

20〜150万円程度

墓じまいは一時的にまとまった費用がかかりますが、永代供養は「一度支払えば終身の供養が約束される」という点が特徴です。墓じまいをした後に永代供養を選ぶ場合は、両方の費用が必要になるため、計画的な資金準備が重要です。

厚生労働省の統計によると、少子高齢化に伴い、近年は費用負担の少ない永代供養を直接選択する世帯が増加傾向にあります。

6.2 管理面での違い

お墓の管理という観点でも、墓じまいと永代供養には明確な違いがあります。

墓じまいは、これまで管理してきた墓地・墓石を撤去することで、お墓の維持管理の負担から解放されることを主な目的としています。一方、永代供養は、寺院や霊園が責任を持って遺骨を供養し続けることを約束するサービスです。

具体的な違いとして:

  • 墓じまい:お墓の管理義務がなくなるが、新たな供養方法を選ぶ必要がある

  • 永代供養:墓石の清掃や草取りなどの物理的な管理が不要になる

  • 墓じまい:墓石がなくなるため、お墓参りの場所がなくなる

  • 永代供養:施設によっては参拝スペースが確保されている

全日本葬祭業協同組合連合会のデータによれば、特に都市部では墓地管理の負担軽減のために永代供養を選ぶ傾向が強くなっています。

6.3 供養方法の違い

墓じまいと永代供養では、故人を供養する方法にも大きな違いがあります。

墓じまいは既存のお墓をたたむ行為であり、それ自体は供養方法ではありません。墓じまい後には何らかの供養方法を新たに選ぶ必要があります。一方、永代供養はそれ自体が供養の方法であり、寺院や霊園が責任を持って供養を続けます。

供養方法の違いを具体的に見てみましょう:

供養の特徴

墓じまい後の選択肢

永代供養

供養の主体

遺族または新たに依頼した寺院・施設

寺院・霊園が永続的に実施

供養の形態

散骨、手元供養、別の墓地への移動など

納骨堂、樹木葬、合同墓など

供養の場所

選択した供養方法による(自宅、新たな墓地など)

固定(契約した寺院・霊園内)

法要・回忌法要

遺族が手配する必要がある

多くの場合、施設が定期的に実施

墓じまい後に永代供養を選ぶことも多く、その場合は「改葬」という手続きを経て遺骨を移動させます全日本墓園協会の調査によると、墓じまいをした遺族の約60%が永代供養を次の供養方法として選択しています。

墓じまいと永代供養は対立する概念ではなく、むしろ連続した選択肢であることが多いのが実情です。家族構成や将来の見通し、費用面などを総合的に考慮して、自分たちに合った選択をすることが大切です。

7. お墓の処分方法を徹底比較

墓じまいを考える際、その後のご遺骨の供養方法についても検討が必要です。お墓をじまった後のご遺骨の行き先には、いくつかの選択肢があります。ここでは代表的な供養方法とその特徴を比較し、ご家族に最適な方法を見つけるための情報をご紹介します。

7.1 墓じまい後の供養方法

お墓をじまった後のご遺骨の供養方法には、主に「永代供養」「散骨」「手元供養」の3つの選択肢があります。それぞれの方法について詳しく見ていきましょう。

7.1.1 永代供養

永代供養とは、お寺や霊園が責任を持って長期間にわたり供養を続けるシステムです。墓じまい後の遺骨の行き先として最も一般的な選択肢の一つです。

永代供養には、納骨堂や樹木葬、合同墓など様々な形態があります。お寺や霊園によって費用や供養方法は異なりますが、基本的には管理者がしっかりと供養を続けてくれるため、後継者がいない場合や遠方に住んでいる場合にも安心できます。

永代供養を選ぶ際は、お寺や霊園の歴史や実績、将来性などもしっかりと確認しておくことが大切です。長期間の供養を依頼するため、その施設が将来的にも存続する可能性が高いかどうかを判断する必要があります。

また、総務省の墓地埋葬法に関する情報によると、永代供養を行う施設は都道府県知事の許可を得た墓地経営者に限られています。信頼できる施設かどうかは、こうした許認可の有無も確認するとよいでしょう。

7.1.2 散骨

散骨は、ご遺骨を細かく砕いて海や山などの自然に還す供養方法です。日本では法律で明確に禁止されていないものの、場所や方法によっては周囲とのトラブルになる可能性もあります。

散骨を行う場合は、以下の点に注意が必要です:

  • 私有地での散骨は所有者の許可が必要

  • 公共の場所では周囲の迷惑にならないよう配慮する

  • 粉末状にしっかり粉砕する(骨の形が残らないように)

  • 散骨業者に依頼する場合は実績や対応をよく確認する

散骨のメリットは、自然に還るという自然観に合致することや、後継者による管理の負担がないことが挙げられます。一方で、供養の場所が特定されない点や、一度散骨すると元に戻せない点はデメリットとして考慮する必要があります。

環境省の海洋環境保全に関する指針によると、海洋への散骨は環境への配慮が求められています。特に自然保護区域などでは制限がある場合もあるため、事前に確認することが重要です。

7.1.3 手元供養

手元供養とは、ご遺骨の一部または全部を特殊な加工を施して、ペンダントやリングなどのアクセサリーやミニ骨壺、位牌などの形で自宅に保管する供養方法です。

最近では、ご遺骨をダイヤモンドや宝石に加工する「メモリアルダイヤモンド」や、ガラス製の置物に混ぜ込む「メモリアルグラス」など、様々な手元供養の形態が登場しています。

手元供養のメリットは、常に故人を身近に感じられることや、引っ越しなどの際にも一緒に持ち運べることが挙げられます。一方で、遺骨の一部しか使用できない場合が多く、残りの遺骨の供養方法も考える必要があります。

また、手元供養品が将来的に不要になった場合の対処法についても、あらかじめ家族間で話し合っておくことが望ましいでしょう。

7.2 それぞれのメリット・デメリット

墓じまい後の供養方法について、それぞれのメリットとデメリットを表にまとめました。ご家族の状況や故人の希望に合わせて最適な方法を選びましょう。

供養方法

メリット

デメリット

費用目安

永代供養

管理の手間が不要定期的な供養が継続されるお参りに行ける場所がある

比較的費用が高い施設によってサービス内容に差がある将来的な運営継続の保証は完全ではない

30万円〜100万円程度

散骨

自然に還るという思想に合致管理費用が継続的にかからない場所を自由に選べる場合がある

お参りできる特定の場所がない一度行うと元に戻せない地域によっては規制がある

5万円〜30万円程度

手元供養

故人を常に身近に感じられる移動や引っ越しも容易様々な形態から選べる

遺骨の一部しか使用できないことが多い将来的な継承問題加工方法によっては高額になる

3万円〜50万円程度

墓じまい後の供養方法を選ぶ際には、費用面だけでなく、ご家族の価値観や故人の希望、将来的な管理の可能性なども総合的に考慮することが大切です。また、一つの方法に限定せず、例えば「一部を手元供養し、残りを永代供養に」というように、複数の方法を組み合わせることも可能です。

どの供養方法を選ぶにしても、故人を敬い、しっかりと供養する気持ちが最も重要です。形式にとらわれすぎず、故人との関係や家族の思いを大切にした選択をすることをおすすめします。

法務省の改葬許可申請に関する情報によると、墓じまい後の遺骨の移動には「改葬許可」が必要です。どの供養方法を選ぶ場合も、適切な手続きを行うことが求められています。

8. 墓じまいに関するよくある質問

墓じまいを検討される方から多く寄せられる質問について、詳しくご説明します。これから墓じまいを考えている方の疑問や不安が解消されるよう、専門家の視点から回答していきます。

8.1 墓じまいは誰でもできる?

墓じまいができるのは、原則として墓地の使用権を持つ「祭祀承継者(さいしけいしょうしゃ)」です。一般的には、墓地の名義人や戸籍上の親族がこれにあたります。

祭祀承継者の決定については、以下のような順序が慣例となっています:

  1. 故人が生前に指定した人

  2. 慣習により祭祀を継承すべき人

  3. 遺族間の協議で決めた人

祭祀承継者でない場合でも、正当な承継者から委任を受ければ手続きを進めることは可能です。ただし、墓じまいは家族間のトラブルになりやすい問題ですので、事前に親族間でしっかり話し合いを行うことが重要です。

また、法務省の民法第897条によれば、祖先の祭祀を主宰すべき者は、系譜、祭具、墳墓などの所有権を承継するとされています。

8.2 墓じまいの時期はいつが良い?

墓じまいの時期については、以下のポイントを考慮することをおすすめします:

季節

メリット

デメリット

春・秋

気候が穏やかで作業がしやすい
お彼岸などの行事に合わせられる

業者が混み合いやすい
予約が取りにくい

比較的予約が取りやすい

猛暑の中での作業となる
お盆時期は避けるべき

業者の予約が取りやすい
費用が安くなる場合もある

寒冷地では凍結などで作業が困難
天候不順で延期の可能性

また、以下のような時期は避けた方が良いとされています:

  • お盆・お彼岸など、墓参りの多い時期

  • 仏滅・友引など、仏事にふさわしくないとされる日

  • 命日や祥月命日

墓じまいは一連の手続きに3〜6ヶ月程度かかることを考慮し、余裕を持ったスケジュールを立てることが大切です。特に改葬許可証の取得には時間がかかる場合があります。

8.3 墓じまい後の供養はどうすればいい?

墓じまい後の供養方法には、主に以下のような選択肢があります:

8.3.1 永代供養への改葬

寺院や霊園が管理する永代供養墓へ遺骨を移す方法です。以下のような特徴があります:

  • 寺院や霊園が半永久的に供養を続けてくれる

  • 個別型と合祀型があり、費用や形式が異なる

  • 管理の手間がかからず、後継者がいない場合に適している

全日本石材産業協会によると、永代供養墓の需要は近年急増しており、墓じまい後の主要な選択肢となっています。

8.3.2 自宅での手元供養

遺骨の一部を小さな骨壷やペンダントなどに入れて、自宅で供養する方法です。

  • いつでも故人を身近に感じられる

  • 移動や引っ越しの際も一緒に持っていける

  • 大切な故人との絆を保ちやすい

手元供養と他の供養方法を組み合わせることも一般的で、遺骨の一部を手元に残し、残りは永代供養墓などに納めるという選択も可能です

8.3.3 散骨

自然に還すという考え方に基づき、遺骨を海や山などに撒く方法です。

  • 法的に禁止されていないが、実施場所や方法に制約がある

  • 遺骨を粉末状にする必要がある

  • 環境への配慮や地域の慣習を尊重する必要がある

散骨を行う際は、環境省のガイドラインに沿って、周辺環境や地域住民に配慮した方法で実施することが求められます。

8.4 墓じまいは法律的に問題ない?

墓じまい自体は法律的に問題ありませんが、適切な手続きを踏む必要があります。主な法的手続きは以下の通りです:

  1. 改葬許可証の取得(墓地、埋葬等に関する法律第5条)

  2. 墓地使用権の返還手続き

  3. 新たな埋葬先での埋葬許可証の取得

改葬許可証は遺骨を移動させる際に必要な公的書類で、現在の墓地がある市区町村の役所で申請します。この手続きを怠ると、無許可での遺骨の移動となり、法律違反となる可能性があるので注意が必要です。

また、厚生労働省の規定に従い、墓じまいの際には適切な手続きと尊厳ある扱いが求められます。

8.5 墓じまいの費用を抑える方法はある?

墓じまいの費用を抑えるための方法としては、以下のようなポイントがあります:

  1. 複数の業者から見積もりを取り比較する

  2. 墓石の撤去方法を工夫する(全撤去ではなく一部撤去など)

  3. 墓石の再利用やリサイクルを検討する

  4. 繁忙期を避けて依頼する

  5. 親族で分担できる作業は自分たちで行う

特に墓石の撤去費用は墓じまい全体の費用の中で大きな割合を占めるため、墓石の状態や大きさによって費用が変わることを理解し、適切な撤去方法を選ぶことが重要です

また、改葬先の永代供養墓などについても、地域や施設によって費用差が大きいため、複数の選択肢を比較検討することをおすすめします。

9. まとめ

墓じまいは、少子高齢化や核家族化により、お墓の継承者不足が課題となる中で注目されている選択肢です。本記事では墓じまいの定義から具体的な手順、費用相場、注意点まで詳しく解説しました。永代供養との違いも明確になったでしょう。お墓の処分方法には永代供養のほか、散骨や手元供養など多様な選択肢があります。墓じまいを検討する際は、親族間での十分な話し合いと、信頼できる業者選びが重要です。また行政手続きや寺院との調整など、時間がかかる場合もあるため余裕を持って準備することをおすすめします。お墓は大切な故人を弔う場所。新しい供養の形を選ぶ際も、故人の想いを大切にした選択をしましょう。

コラムを書いた人

篠原 博之

行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表

個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属

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