新宿区高田馬場の行政書士事務所

合同会社の定款とは?各条文の意味を行政書士がわかりやすく解説

会社設立

公開日:2026/6/23

更新日:2026/6/23

合同会社を設立するときに必ず作成する書類が「定款」です。

定款とは、会社の基本ルールを定める書類です。
会社名、事業内容、本店所在地、社員、出資、代表者、利益の分配、事業年度など、会社を運営するうえで重要な事項を定めます。

合同会社は株式会社と比べて、会社内部のルールを比較的自由に決めやすい会社形態です。
そのため、定款を単なる設立書類として作るのではなく、将来のトラブルを防ぐための「会社の設計図」として考えることが大切です。

この記事では、合同会社の定款に記載される主な条文について、それぞれの意味を詳しく解説します。



合同会社の定款とは

合同会社の定款とは、合同会社の組織や運営に関する基本ルールを定めた書類です。

会社法上、合同会社を設立するには、社員になろうとする人が定款を作成し、全員が署名または記名押印する必要があります。

ここでいう「社員」とは、従業員のことではありません。
合同会社に出資する人、つまり会社の構成員のことをいいます。

合同会社では、この社員が会社の所有者であり、原則として経営にも関わる立場になります。
そのため、誰が社員になるのか、誰が業務を執行するのか、誰が代表するのかを定款で明確にしておくことが重要です。


合同会社の定款に記載する事項

合同会社の定款に記載する事項は、大きく分けて次の3つです。

1. 絶対的記載事項

絶対的記載事項とは、定款に必ず記載しなければならない事項です。
これが抜けていると、定款として不備があることになります。

合同会社の絶対的記載事項は、主に次のとおりです。

  • 目的

  • 商号

  • 本店所在地

  • 社員の氏名または名称および住所

  • 社員の全部を有限責任社員とする旨

  • 社員の出資の目的およびその価額または評価の標準

2. 相対的記載事項

相対的記載事項とは、定款に定めておかなければ効力が生じない事項です。

たとえば、持分を譲渡するときの条件、業務執行社員の定め、代表社員の定め、定款変更の方法などが該当します。

合同会社は定款自治が広く認められているため、会社法の原則と異なるルールを置きたい場合は、定款に明確に記載する必要があります。

3. 任意的記載事項

任意的記載事項とは、法律に違反しない範囲で、会社が任意に定款へ記載できる事項です。

たとえば、事業年度、役員報酬、利益の分配方法、公告方法などが考えられます。

任意的記載事項は、記載しなくても定款自体が無効になるわけではありません。
しかし、会社の運営ルールを明確にするため、実務上は記載しておいた方がよいものも多くあります。


合同会社の定款の条文ごとの意味

ここからは、合同会社の定款に記載されることが多い条文について、条文ごとに意味を解説します。


「商号」に関する条文

条文例

当会社は、合同会社〇〇と称する。

意味

商号とは、会社の名前のことです。
合同会社の場合、商号の中に「合同会社」という文字を入れる必要があります。

たとえば、次のような形です。

  • 合同会社〇〇

  • 〇〇合同会社

「合同会社」を前に置くか後ろに置くかは自由です。
ただし、同一住所で同一商号の会社は登記できません。

また、銀行口座の開設、許認可申請、契約書、請求書、ホームページなど、会社名は事業活動のあらゆる場面で使用します。
そのため、事業内容に合っているか、読みやすいか、検索しやすいか、似た会社名と混同されないかも確認しておくとよいでしょう。

実務上の注意点

合同会社の商号を決めるときは、次の点に注意します。

  • 「合同会社」の文字を必ず入れる

  • 同一住所に同一商号がないか確認する

  • 既存会社や有名ブランドと誤認されないか確認する

  • 許認可や金融機関の審査で違和感のない名称にする

  • Web検索で見つけやすい名称にする

商号は後から変更することもできますが、変更登記や各種届出が必要になります。
名刺、ホームページ、契約書、銀行、税務署、許認可関係にも影響するため、設立時点で慎重に決めることが大切です。


「目的」に関する条文

条文例

当会社は、次の事業を営むことを目的とする。

  1. 〇〇に関する事業

  2. 〇〇の企画、制作、販売および運営

  3. 前各号に附帯または関連する一切の事業

意味

目的とは、その会社が行う事業内容のことです。
会社は、定款に記載された目的の範囲内で事業を行うことが予定されています。

たとえば、飲食店を運営する会社であれば「飲食店の経営」、Web制作を行う会社であれば「Webサイトの企画、制作、運営および保守」などを記載します。

目的は、登記簿にも記載されます。
そのため、取引先、金融機関、行政機関などが会社の事業内容を確認する際にも見られる項目です。

目的の書き方

目的を書くときは、次の3つを意識します。

  1. 現在行う事業

  2. 近い将来行う可能性がある事業

  3. 関連する周辺事業

あまりに狭く書くと、後で新しい事業を始めるときに目的変更が必要になることがあります。
一方で、関係のない事業を大量に書きすぎると、会社の実態がわかりにくくなります。

許認可が必要な事業の注意点

許認可が必要な事業を行う場合は、目的の文言が特に重要です。

たとえば、次のような業種では、定款目的の記載内容が確認されることがあります。

  • 古物商

  • 建設業

  • 宅地建物取引業

  • 旅行業

  • 旅館業

  • 酒類販売業

  • 人材紹介業

  • 労働者派遣業

許認可申請を予定している場合は、設立前に目的文言を確認しておくことをおすすめします。

よく使われる包括文言

目的の最後には、次のような文言を入れることが多いです。

「前各号に附帯または関連する一切の事業」

これは、記載した事業に関連する周辺業務も行えるようにするための文言です。
ただし、この文言があれば何でもできるという意味ではありません。
主たる事業内容は、目的に具体的に記載しておくことが重要です。


「本店所在地」に関する条文

条文例

当会社は、本店を東京都新宿区に置く。

意味

本店所在地とは、会社の本店を置く場所のことです。
定款では、市区町村まで記載する方法と、番地まで具体的に記載する方法があります。

たとえば、次の2パターンがあります。

  • 東京都新宿区

  • 東京都新宿区高田馬場〇丁目〇番〇号

定款では市区町村までにしておき、具体的な番地は設立登記申請書や代表社員の決定書などで定めることもあります。

市区町村までにするメリット

定款の本店所在地を市区町村までにしておくと、同じ市区町村内で移転する場合に、定款変更が不要になることがあります。

たとえば、定款に「東京都新宿区」と記載している場合、新宿区内で本店移転をしても、定款の記載自体は変わりません。

一方、定款に番地まで記載している場合は、同じ市区町村内の移転でも定款変更が必要になります。

実務上の注意点

本店所在地は、税務署、都道府県税事務所、市区町村、金融機関、許認可行政庁などにも関係します。

また、バーチャルオフィスや自宅を本店にする場合は、次の点も確認しておく必要があります。

  • 賃貸借契約上、法人登記が可能か

  • 許認可申請で本店所在地が問題にならないか

  • 郵便物を確実に受け取れるか

  • 銀行口座開設に支障がないか

  • ホームページや請求書に表示しても問題ない住所か

特に許認可が必要な事業では、本店所在地とは別に営業所や事務所の実態が確認されることがあります。


「公告方法」に関する条文

条文例

当会社の公告は、官報に掲載してする。

意味

公告方法とは、会社が法律上必要な公告を行う方法です。
公告とは、会社の重要な情報を外部に知らせる手続です。

合同会社では、公告方法として官報を定めることが多いです。

公告方法の種類

公告方法には、主に次のようなものがあります。

  • 官報

  • 日刊新聞紙

  • 電子公告

合同会社では、官報公告を選ぶケースが一般的です。
電子公告を選ぶ場合は、公告を掲載するWebページの管理や、一定の場合の調査などが問題になることがあります。

実務上の注意点

公告方法は、必ず定款に記載しなければならない事項ではありません。
ただし、記載しておくことで会社のルールが明確になります。

小規模な合同会社では、シンプルに「官報に掲載してする」と定めることが多いです。


「社員の氏名または名称および住所」に関する条文

条文例

当会社の社員の氏名および住所は、次のとおりとする。
東京都〇〇区〇〇一丁目〇番〇号 山田太郎

意味

合同会社の社員とは、会社に出資する構成員のことです。
従業員という意味ではありません。

合同会社の定款には、社員の氏名または名称と住所を記載する必要があります。

個人が社員になる場合は、氏名と住所を記載します。
法人が社員になる場合は、法人名と本店所在地を記載します。

社員の意味

合同会社では、社員が会社の所有者です。
株式会社でいう株主に近い立場ですが、合同会社では社員が経営にも関与するのが原則です。

そのため、誰を社員にするかは非常に重要です。

実務上の注意点

複数人で合同会社を設立する場合は、社員間の関係性をよく確認しておく必要があります。

特に、次の点は設立前に話し合っておくべきです。

  • 誰が出資するのか

  • 誰が経営に関わるのか

  • 誰が代表になるのか

  • 利益をどのように分配するのか

  • 意見が割れた場合にどう決めるのか

  • 退社したい社員が出た場合にどうするのか

  • 持分を第三者に譲渡できるのか

  • 社員が死亡した場合に相続人へ承継させるのか

合同会社は柔軟な会社形態ですが、社員同士の関係が悪化すると運営が止まりやすい面もあります。
そのため、複数人で設立する場合は、定款の作り込みが特に重要です。


「社員の責任」に関する条文

条文例

当会社の社員は、すべて有限責任社員とする。

意味

合同会社では、社員全員が有限責任社員です。

有限責任とは、会社の債務について、原則として出資した範囲で責任を負うという意味です。
会社が借金を負ったとしても、社員が当然に個人財産で会社債務を支払うわけではありません。

この点は、個人事業主との大きな違いです。

注意点

有限責任だからといって、常に個人が一切責任を負わないという意味ではありません。

たとえば、次のような場合は個人が責任を負うことがあります。

  • 代表社員が個人保証をした場合

  • 税金や社会保険料について法令上の責任が問題になる場合

  • 違法行為や不正行為をした場合

  • 会社と個人の財産が混同されている場合

銀行借入や賃貸借契約では、代表社員が連帯保証人になるケースもあります。
その場合は、有限責任とは別に、保証契約に基づく責任を負います。


「出資」に関する条文

条文例

社員の出資の目的およびその価額は、次のとおりとする。
山田太郎 金100万円

意味

出資とは、社員が会社に拠出する財産のことです。
合同会社では、社員が出資をすることで会社の構成員になります。

定款には、誰が、何を、いくら出資するのかを記載します。

通常は金銭出資が多いです。
たとえば、「山田太郎 金100万円」のように記載します。

資本金との関係

社員が出資した金額は、会社の資本金の額に関係します。

ただし、出資額の全額を資本金にしなければならないわけではありません。
一部を資本剰余金として扱うこともあります。

小規模な合同会社では、出資額をそのまま資本金とすることが多いです。

出資額を決めるときの考え方

資本金は1円でも設立可能です。
しかし、あまりに少額だと、金融機関や取引先から見た信用面で不利になることがあります。

また、許認可によっては財産的基礎が求められることもあります。

資本金を決めるときは、次の点を考慮します。

  • 当面の運転資金

  • 事業開始に必要な設備費

  • 許認可上の要件

  • 金融機関からの見え方

  • 取引先からの信用

  • 消費税の免税事業者判定への影響

資本金は税務にも関係するため、必要に応じて税理士にも確認すると安心です。


「業務執行社員」に関する条文

条文例

当会社の業務は、社員山田太郎が執行する。

意味

業務執行社員とは、会社の業務を実際に行う権限を持つ社員のことです。

合同会社では、原則として社員全員が業務を執行する権限を持ちます。
しかし、定款で特定の社員だけを業務執行社員とすることもできます。

業務執行社員を定める理由

複数人で合同会社を設立する場合、全員が経営に関わるとは限りません。

たとえば、次のようなケースがあります。

  • 1人は経営に専念する

  • 1人は出資だけする

  • 家族が出資者になるが、実際の経営は代表者が行う

  • 法人が出資するが、日常業務は個人代表者が行う

このような場合、誰が会社の業務を執行するのかを定款で明確にしておく必要があります。

実務上の注意点

業務執行社員は登記事項です。
誰を業務執行社員にするかは、登記簿にも反映されます。

また、業務執行社員を複数置く場合は、意思決定の方法も定めておくと安心です。

たとえば、次のようなルールです。

  • 業務執行社員の過半数で決定する

  • 重要事項は全員一致で決定する

  • 一定金額以上の契約は代表社員の承認を必要とする

合同会社は自由度が高い分、決め方を曖昧にするとトラブルになりやすいです。


「代表社員」に関する条文

条文例

当会社の代表社員は、山田太郎とする。

意味

代表社員とは、合同会社を対外的に代表する社員です。
株式会社でいう代表取締役に近い役割です。

契約の締結、銀行口座の開設、許認可申請、対外的な意思表示などは、代表社員の名義で行うことが多くなります。

業務執行社員との違い

業務執行社員は、会社内部で業務を執行する権限を持つ社員です。
代表社員は、会社を外部に対して代表する権限を持つ社員です。

簡単にいうと、次のような違いです。

  • 業務執行社員:会社内部の経営を行う人

  • 代表社員:会社を外部に対して代表する人

1人合同会社の場合は、通常、その人が業務執行社員であり代表社員にもなります。

複数人の合同会社では、業務執行社員の中から代表社員を定めることが多いです。

実務上の注意点

代表社員の氏名および住所は登記されます。
個人が代表社員になる場合、代表社員の住所も登記事項になります。

また、法人が代表社員になる場合は、その法人の職務執行者を定める必要があります。
法人が合同会社の社員になる場合は、個人のみで設立する場合よりも必要書類や定款の記載が複雑になるため注意が必要です。


「持分の譲渡」に関する条文

条文例

社員は、他の社員全員の承諾がなければ、その持分の全部または一部を他人に譲渡することができない。

意味

持分とは、合同会社における社員としての地位や権利義務をいいます。

株式会社でいう株式に近いイメージですが、合同会社の持分は株式ほど自由に譲渡できるものではありません。

合同会社は、社員同士の信頼関係を前提とした会社形態です。
そのため、知らない第三者が突然社員になると、会社運営に大きな影響が出ます。

そこで、持分を譲渡する場合の条件を定款で定めておくことが重要です。

実務上の注意点

複数人で設立する合同会社では、持分譲渡のルールは非常に重要です。

たとえば、次のような点を決めておくと安心です。

  • 持分譲渡には誰の承諾が必要か

  • 業務執行社員の承諾で足りるのか

  • 社員全員の承諾が必要か

  • 親族やグループ会社への譲渡を認めるのか

  • 退社時に会社や他の社員が持分を買い取れるのか

持分譲渡のルールが曖昧だと、会社の支配関係が変わったり、意図しない人が経営に関与したりする可能性があります。


「社員の加入」に関する条文

条文例

新たに社員を加入させるには、総社員の同意を要する。

意味

社員の加入とは、新しい出資者を合同会社に加えることです。

新しい社員が入ると、会社の意思決定、利益分配、経営権に影響します。
そのため、誰をどのような条件で加入させるかを明確にしておく必要があります。

実務上の注意点

スタートアップや家族経営の会社では、後から共同経営者や投資家を入れることがあります。
その場合、社員加入のルールを定款で整備しておくとスムーズです。

ただし、社員の加入は定款変更や登記が必要になることがあります。
単にお金を出してもらうだけなのか、社員として経営に関与させるのかは慎重に区別する必要があります。


「社員の退社」に関する条文

条文例

社員は、やむを得ない事由があるときは、退社することができる。

意味

社員の退社とは、合同会社の社員としての地位を失うことです。

合同会社では、社員が退社すると、出資の払戻しや持分の処理が問題になります。
特に複数人で設立した会社では、退社ルールを定めておかないとトラブルになりやすいです。

退社が問題になる場面

たとえば、次のような場合です。

  • 共同経営者が会社を抜けたい

  • 社員同士の関係が悪化した

  • 出資者が資金を回収したい

  • 社員が死亡した

  • 法人社員が解散した

  • 社員が破産した

合同会社では、社員の人的関係が会社運営に大きく影響します。
そのため、退社時の処理は事前に定めておくことが大切です。

実務上の注意点

社員が退社する場合、持分の払戻しをどのように計算するかが問題になります。

出資額をそのまま返すのか、会社の純資産を基準にするのか、別途合意で決めるのかによって、金額が大きく変わる可能性があります。

退社や持分払戻しのルールは、必要に応じて専門家に相談しながら設計することをおすすめします。


「相続による持分の承継」に関する条文

条文例

社員が死亡した場合、その相続人は、他の社員全員の承諾を得て、当該社員の持分を承継することができる。

意味

社員が死亡した場合、その持分を相続人が引き継げるかどうかを定める条文です。

合同会社は、社員同士の信頼関係を重視する会社形態です。
そのため、社員が死亡したからといって、当然に相続人が社員になるわけではありません。

相続人に持分を承継させたい場合は、定款で定めておくことが重要です。

実務上の注意点

家族会社では、相続による承継を認めた方が事業承継しやすい場合があります。

一方で、共同経営者同士の会社では、死亡した社員の相続人が経営に関与すると困るケースもあります。

たとえば、次のような違いがあります。

  • 家族経営:相続人への承継を認めたい場合がある

  • 共同経営:相続人の当然加入は避けたい場合がある

  • 投資家がいる会社:持分の評価や買取ルールを明確にしたい場合がある

相続条項は、将来の紛争予防に非常に重要です。


「利益の配当・損益の分配」に関する条文

条文例

当会社の利益および損失の分配は、各社員の出資の価額に応じて行う。

意味

利益の配当や損益の分配とは、会社の利益や損失を社員間でどのように分けるかというルールです。

合同会社では、出資割合に応じて利益を分けることが多いです。
しかし、定款で別の割合を定めることもできます。

たとえば、出資額は少ないけれど事業への貢献度が大きい社員に、多く利益を分配する設計も考えられます。

実務上の注意点

利益分配のルールは、共同経営で特にトラブルになりやすい部分です。

次のような点を事前に話し合っておく必要があります。

  • 出資割合で分けるのか

  • 業務への貢献度を考慮するのか

  • 役員報酬と利益配当をどう分けるのか

  • 赤字の場合の負担をどう考えるのか

  • 税務上の取扱いに問題がないか

利益分配は税務にも関係します。
実際の運用を決めるときは、税理士にも確認することをおすすめします。


「事業年度」に関する条文

条文例

当会社の事業年度は、毎年4月1日から翌年3月31日までとする。

意味

事業年度とは、会社の会計期間のことです。
会社は事業年度ごとに決算を行い、税務申告をします。

個人事業主は原則として1月1日から12月31日までが会計期間ですが、法人は自由に事業年度を決めることができます。

事業年度の決め方

事業年度を決めるときは、次の点を考慮します。

  • 繁忙期と決算期が重ならないか

  • 売上が大きくなる時期はいつか

  • 資金繰りに無理がないか

  • 税理士との決算対応がしやすいか

  • 許認可や補助金の報告時期と重ならないか

設立日から最初の決算期までが短すぎると、すぐに決算申告が必要になります。
そのため、設立時には第1期の長さも考えて事業年度を決めることが大切です。

よくある設定

よくある事業年度の例は次のとおりです。

  • 4月1日から3月31日

  • 1月1日から12月31日

  • 7月1日から6月30日

  • 10月1日から9月30日

どれが正解というものではありません。
会社の事業内容や繁忙期に合わせて決めるのが基本です。


「業務執行社員の報酬」に関する条文

条文例

業務執行社員の報酬は、社員の過半数の同意をもって定める。

意味

業務執行社員の報酬とは、会社経営を行う社員に支払う報酬のことです。

株式会社でいう役員報酬に近いものです。

合同会社では、業務執行社員が会社経営を担うため、報酬の決め方を定款や社員の同意で明確にしておくことがあります。

実務上の注意点

報酬は税務上の取扱いが重要です。

法人税法上、役員給与として損金算入できるかどうかは、支給時期や金額の決め方に影響されます。
そのため、報酬額を自由に変更しすぎると、税務上不利になる可能性があります。

報酬を決める際は、税理士と相談しながら運用することをおすすめします。


「定款の変更」に関する条文

条文例

当会社の定款を変更するには、総社員の同意を要する。

意味

定款変更とは、会社の基本ルールである定款の内容を変更することです。

たとえば、次のような場合に定款変更が必要になることがあります。

  • 商号を変更する

  • 目的を追加する

  • 本店所在地の定款記載を変更する

  • 社員の加入や退社がある

  • 業務執行社員や代表社員の定めを変更する

  • 事業年度を変更する

  • 利益分配のルールを変更する

合同会社では、原則として総社員の同意により定款を変更します。
ただし、定款に別段の定めを置くこともできます。

実務上の注意点

複数人の合同会社では、定款変更の要件が重すぎると、会社運営が止まることがあります。

たとえば、総社員の同意が必要な場合、1人でも反対すると変更できません。

一方で、代表社員だけで簡単に変更できるようにすると、少数社員の権利が害される可能性があります。

そのため、定款変更の要件は会社の規模や社員構成に応じて設計することが重要です。


「解散」に関する条文

条文例

当会社は、次の事由により解散する。

  1. 総社員の同意

  2. 合併により当会社が消滅する場合

  3. 破産手続開始の決定

  4. その他法令で定める事由

意味

解散とは、会社を終了させる手続に入ることです。

合同会社は、総社員の同意や法定の事由により解散します。
定款で存続期間や解散事由を定めておくこともできます。

実務上の注意点

通常の小規模な合同会社では、特別な解散事由を定款に細かく定めないことも多いです。

しかし、期間限定のプロジェクト会社や、不動産保有会社、共同事業会社などでは、次のような定めを置くことがあります。

  • 特定の事業が終了したとき

  • 特定の契約が終了したとき

  • 一定期間が満了したとき

  • 特定の社員が退社したとき

事業の性質によっては、出口戦略として解散条項を設計しておくことも重要です。


「残余財産の分配」に関する条文

条文例

当会社が清算する場合における残余財産は、各社員の出資の価額に応じて分配する。

意味

残余財産の分配とは、会社を清算した後に残った財産を社員に分けることです。

会社が解散した場合、すぐに会社が消滅するわけではありません。
会社の債権債務を整理し、財産が残れば社員に分配します。

実務上の注意点

残余財産の分配方法を定めておくことで、清算時のトラブルを防ぎやすくなります。

一般的には、出資割合に応じて分配することが多いです。
ただし、利益分配と同様に、定款で別の割合を定めることも考えられます。

複数人で設立する場合は、会社を終了するときのルールも事前に考えておくことが大切です。


「附則」

条文例

第1期の事業年度は、当会社成立の日から令和〇年〇月〇日までとする。
当会社の設立時の資本金の額は、金100万円とする。
当会社の設立時代表社員は、山田太郎とする。

意味

附則とは、会社設立時だけに必要な事項や、経過的なルールを定める部分です。

定款の本文が会社の継続的なルールであるのに対し、附則は設立時点の具体的な事項を定める役割があります。

附則に記載されることが多い事項

合同会社の附則には、次のような事項を記載することがあります。

  • 最初の事業年度

  • 設立時の資本金の額

  • 設立時代表社員

  • 設立時業務執行社員

  • 本店所在地の具体的な場所

  • 定款作成日

  • 社員の署名または記名押印

実務上の注意点

附則は見落とされがちですが、設立登記や税務申告に関係する重要な部分です。

特に、最初の事業年度をどう設定するかによって、第1期の決算時期が変わります。
設立してすぐに決算期が来ると、短期間で申告準備が必要になるため注意しましょう。


合同会社の定款で特に注意すべきポイント

1. 「社員」は従業員ではなく出資者

合同会社の定款で出てくる「社員」は、従業員ではありません。
会社に出資する構成員のことです。

ここを誤解すると、定款全体の意味がわかりにくくなります。

2. 目的は許認可を意識して作成する

許認可が必要な事業を行う場合、定款目的の文言が確認されることがあります。
将来行う予定の事業も含めて、必要な目的を設立時に整理しておきましょう。

3. 複数人で設立する場合は持分・退社・相続が重要

1人合同会社であれば比較的シンプルですが、複数人で設立する場合は注意が必要です。

特に、次の条項はしっかり検討すべきです。

  • 持分譲渡

  • 社員の加入

  • 社員の退社

  • 相続による承継

  • 利益分配

  • 定款変更

  • 代表社員の決め方

共同経営では、最初は関係が良くても、後から意見が分かれることがあります。
トラブルが起きてからルールを作るのは難しいため、設立時に定款で整理しておくことが大切です。

4. 代表社員と業務執行社員を混同しない

業務執行社員は、会社内部の業務執行を行う人です。
代表社員は、会社を外部に対して代表する人です。

1人合同会社では同じ人になることが多いですが、複数人の場合は分けて考える必要があります。

5. 電子定款にするか紙の定款にするか確認する

合同会社の定款は、公証人の認証を受ける必要はありません。
ただし、紙で設立時の定款原本を作成する場合、印紙税の問題があります。

一方、電子定款として作成する場合は、印紙税の課税対象となる紙の文書ではないため、コストを抑えられる可能性があります。

電子定款を作成するには、電子署名などの準備が必要になるため、自分で対応するか、専門家に依頼するかを検討するとよいでしょう。


合同会社の定款は「ひな形」だけで作ってよいか

合同会社の定款は、インターネット上のひな形を使って作成することも可能です。

ただし、ひな形は一般的な内容になっていることが多く、自社の事情に合っているとは限りません。

特に、次のような場合は注意が必要です。

  • 複数人で設立する

  • 家族以外の共同経営者がいる

  • 出資だけする社員がいる

  • 法人が社員になる

  • 将来、持分譲渡や事業承継を予定している

  • 許認可が必要な事業を行う

  • 利益分配を出資割合と異なる形にしたい

  • 将来の売却やM&Aを考えている

ひな形を使う場合でも、各条文の意味を理解したうえで、自社に合う内容に修正することが大切です。


まとめ

合同会社の定款は、単なる設立手続の書類ではありません。
会社の基本ルールを定める、非常に重要な書類です。

特に重要なのは、次の項目です。

  • 商号

  • 目的

  • 本店所在地

  • 社員

  • 出資

  • 社員の責任

  • 業務執行社員

  • 代表社員

  • 持分譲渡

  • 社員の加入・退社

  • 相続による承継

  • 利益分配

  • 事業年度

  • 定款変更

  • 解散

  • 残余財産の分配

  • 附則

1人で設立する合同会社であれば、比較的シンプルな定款でも対応できることがあります。
一方で、複数人で設立する場合や、許認可が必要な事業を行う場合は、定款の内容を慎重に設計する必要があります。

合同会社の定款は、設立時だけでなく、会社運営、出資者間の関係、将来の事業承継にも関わります。
設立後に困らないよう、条文の意味を理解したうえで、自社に合った定款を作成しましょう。


よくある質問

Q. 合同会社の定款は必ず作成しなければなりませんか?

はい。合同会社を設立するには定款の作成が必要です。
定款は、会社の商号、目的、本店所在地、社員、出資などを定める基本書類です。

Q. 合同会社の定款は公証役場で認証を受ける必要がありますか?

合同会社の定款は、株式会社と異なり、公証人の認証を受ける必要はありません。

Q. 合同会社の定款に必ず書く事項は何ですか?

主に、目的、商号、本店所在地、社員の氏名または名称および住所、社員全員が有限責任社員である旨、社員の出資の目的および価額などを記載します。

Q. 合同会社の「社員」とは従業員のことですか?

いいえ。合同会社の定款でいう「社員」は、従業員ではなく、会社に出資する構成員のことです。

Q. 1人で合同会社を設立する場合も定款は必要ですか?

はい。1人合同会社であっても定款は必要です。
社員が1人の場合でも、商号、目的、本店所在地、出資、代表社員などを定款で定めます。

Q. 合同会社の定款は後から変更できますか?

変更できます。
ただし、定款変更には社員の同意が必要になり、変更内容によっては登記申請も必要になります。

Q. 合同会社の定款はひな形で作っても大丈夫ですか?

1人会社でシンプルな事業であれば、ひな形をもとに作成できる場合もあります。
ただし、複数人で設立する場合、許認可が必要な事業を行う場合、利益分配や退社ルールを細かく決めたい場合は、専門家に確認することをおすすめします。

この記事を書いた人

篠原 博之

行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表

個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第2408248号|東京都行政書士会 新宿支部所属

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