新宿区 豊島区 台東区の民泊規制を比較
旅館業・住宅宿泊事業
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東京で民泊を始める方は、物件の購入や賃貸借契約の前に、所在地の条例と、開業予定時点のルールを確認する必要があります。2026年秋、新宿区では条例改正案の意見募集が始まり、豊島区では12月の区域・期間制限の施行が迫り、台東区では10月から新たな制限が施行されています。
ただし、3区が同じ規制を導入するわけではありません。改正案なのか施行済みなのか、既存施設にも適用されるのか、家主居住型に例外があるのかで、物件選びと収支計画は変わります。本稿では、住宅宿泊事業法に基づく民泊を中心に、3区の違いと契約前に確認したい点を整理します。
3区の変更点を先に確認
区 | 2026年10月26日時点 | 開業や継続への主な影響 |
新宿区 | 改正案の意見募集中 | 住宅地等での実施を原則禁止し、商業地域等も季節限定の年120日とする案。特例住宅の認定と既存施設への経過措置を予定。 |
豊島区 | 改正済み。区域・期間制限は12月16日施行 | 一定の住宅地等で新規開設を原則不可とし、営業可能な期間を季節限定の年120日に。既存届出住宅等は区域制限の特例がある一方、期間制限の対象。 |
台東区 | 10月1日施行済み | 新たな届出住宅は家主居住型も平日の営業を制限。祝日・年末年始の例外あり。既存施設は従前の扱いを継続。 |
※表は概要です。「既存」の判定基準、特例の要件、制限する時間帯は区ごとに異なります。具体的な物件への適用は、以下の説明と区の最新資料を併せて確認してください。[1][2][3]
新宿区は改正案の段階で既存施設への影響も提示
新宿区は、2026年10月15日から11月13日まで、住宅宿泊事業と旅館業の条例改正案について意見を募集しています。10月26日時点では、成立・施行したルールとして扱うことはできません。[1]
住宅宿泊事業の骨子案では、住居専用地域、住居地域、準工業地域、文教地区での実施を原則禁止する一方、近隣商業地域・商業地域では、春・夏・冬の指定期間内、合計年120日の営業とする内容が示されています。任意に120日を選べる仕組みではありません。[1]
住宅地等にも「特例住宅」の認定による例外が設けられる案ですが、家主が住んでいれば自動的に認められるわけではありません。骨子案は、日本語で会話できる事業者が、届出予定住宅または隣接住宅に生活の本拠を置いて3年以上居住していること、対象の家屋を所有していることなどを求めています。家主同居の場合は、事業者と宿泊者の寝室を分け、それぞれ施錠管理できる構造も要件です。認定を受けても、営業できるのは同じ年間120日の指定期間内です。[1]
既存施設への新たな実施制限は、改正条例施行から2年後に適用する案です。ただし、全ての義務に2年の猶予があるわけではありません。対面による本人確認・説明、おおむね30分以内の駆け付け体制、ごみ処理の委託は、施行後に既存施設へも適用する内容です。現行制度で営業できる物件でも、改正後を想定した収支と運営体制の点検が必要になります。[1]
豊島区は12月16日から区域と期間の制限を開始
豊島区は条例を改正済みで、区域・期間制限は2026年12月16日に施行されます。周辺住民への説明会など手続面の強化は、2025年12月15日から既に施行されており、今回の施行日と混同しないことが大切です。[2]
区域制限の対象は、条例で列挙された住居専用地域、住居地域、準工業地域と文教地区です。これらの区域では、新規開設が原則としてできなくなります。敷地の一部が対象区域にかかる場合も、敷地全体が対象区域内とみなされます。[2]
一方、2026年12月16日より前に届出を受理した住宅と、生活環境の悪化のおそれがないものとして規則で定める住宅には、区域制限の特例があります。後者の具体的な該当性は区への個別確認が必要です。ただし、期間制限まで外れるわけではありません。営業できるのは、3月15日正午から4月11日正午、7月1日正午から9月1日正午、12月15日正午から翌年1月15日正午の各期間です。既存施設も含め、この年間120日間を前提に事業計画を見直す必要があります。なお、施行をまたぐ2026年度の扱いは、通年で制限が適用される年度と区別してください。[2]
届出のタイミングを検討する場合も、「とりあえず書類を出せば間に合う」とは考えないでください。区は、必要書類がそろい、不備なく形式上の要件に適合していることを受理の条件としています。契約、説明会、消防関係の確認、書類準備まで含めた日程の検討が必要です。[4]
台東区は新規の家主居住型にも平日の制限
台東区では、2026年10月1日から改正条例が施行されています。同日以降の届出住宅については、家主居住型・家主不在型のいずれも、区内全域で営業期間の制限を受けます。[3]
制限するのは、月曜日正午から土曜日正午までです。ただし、祝日法上の休日の正午から翌日正午までと、12月30日正午から翌年1月4日正午までは除かれます。「家主が住んでいるから平日も営業できる」「金曜日の宿泊なら週末扱い」と判断せず、予約日程を正午単位で確認しましょう。[3]
9月30日までの届出受理分は、新たな期間制限の適用対象外です。ただし、既存の家主不在型は、従前から平日の営業に管理者常駐の条件があり、既存施設が一律に無制限となるわけではありません。また、今回設けられた条例上の指導・勧告、業務改善命令などは既存施設も対象です。[3]
台東区は「届出日」を、不備のない届出書類一式が保健所に到達した日と説明しています。既存施設に当たるかを確認するときは、送信日や標識の交付日だけで判断せず、届出の内容と記録を確認してください。[5]
旅館業へ切り替えれば解決するとは限らない
営業日数の制約を踏まえ、旅館業への転換を検討する方もいるでしょう。しかし、住宅宿泊事業の届出をしていることだけで、旅館業の許可を受けられるわけではありません。用途地域、建築・消防、構造設備、管理体制を別途確認する必要があります。
新宿区の旅館業改正案には、旅館用途の延べ床面積の合計を200平方メートル超とする基準や、フロントの設置などが盛り込まれています。これらの構造設備基準は既存施設には適用しない案ですが、新たな旅館業への転換を検討する際には見逃せません。[6]
豊島区でも旅館業条例が改正され、施設内のフロント設置や営業従事者の常駐などの規定が2026年12月16日から施行されます。事業計画の周知等は9月17日から施行済みです。既存施設等には経過措置があるため、申請時期と適用条項を個別に確認する必要があります。[7]
物件を契約する前に確認したいこと
まず、所在地だけでなく敷地の範囲を確認し、用途地域と文教地区等の指定を調べます。そのうえで、予定する事業が住宅宿泊事業か旅館業か、誰が居住・管理するのか、届出・許可の時期はいつかを整理します。
次に、建築確認・検査関係の資料や図面をそろえ、建物用途、接道、避難経路、必要な消防設備を確認します。マンションなら管理規約、賃貸物件なら賃貸借契約や所有者の承諾も確認が必要です。行政上の要件を満たすことと、私法上その建物を宿泊事業に使用できることは別の問題です。[8][9]
収支は、年間日数だけでなく営業できる季節・曜日を反映して試算しましょう。営業しない期間も発生する賃料、借入返済、管理費のほか、対面対応や常駐・駆け付け、ごみ処理に必要な費用も見込みます。既存施設の購入や事業者変更を予定する場合は、現在の届出や経過措置をそのまま引き継げると決めつけず、契約前に確認してください。
3区の動きを比較すると、開業判断には「どの区か」に加えて、「どの物件を、誰が、いつから、どの制度で運営するか」が欠かせません。行政書士しのはら事務所では、民泊・旅館業の申請や物件取得前の調査に関するご相談を承っています。検討中の所在地・図面・運営形態を整理したうえで、お問い合わせください。[8]
出典
1 新宿区の住宅宿泊事業改正案
パブリックコメント実施案内
住宅宿泊事業条例改正案の骨子 1〜3ページ
2 豊島区の区域及び期間制限
3 台東区の改正内容と既存施設
住宅宿泊事業における台東区の条例を改正しました
条例新旧対照表 第17条ほか
条例改正等対策強化の概要
4 豊島区の届出受理
5 台東区の届出日
6 新宿区の旅館業改正案
7 豊島区の旅館業条例改正
豊島区旅館業法施行条例が改正されました
旅館業条例新旧対照表 第6条 第7条 附則
8 当事務所のサービスと物件調査の案内
9 住宅宿泊事業の賃貸借契約及び管理規約
この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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