新宿区高田馬場の行政書士事務所

外国人技術者採用の在留資格申請ガイド 2026

外国人ビザ申請(在留資格)

公開日:2026/9/13

更新日:2026/9/13

外国人のエンジニアや技術者を初めて採用する企業から、「どの就労ビザを申請すればよいのか」「会社側では何を準備すればよいのか」というご相談をいただくことがあります。

外国人技術者を採用する場合、多くのケースで検討することになるのが、在留資格「技術・人文知識・国際業務」です。

ただし、内定を出せば自動的に在留資格が認められるわけではありません。

重要なのは、本人の学歴・職歴と採用後の仕事内容が適合しているか、仕事内容が在留資格「技術・人文知識・国際業務」に該当しているか、会社の事業内容や雇用条件を適切に説明できるかという点です。

この記事では、初めて外国人技術者を採用する中小企業の人事担当者向けに、2026年時点の制度を前提として、採用前の確認事項から必要書類、申請手順、入管から追加資料を求められた場合の対応まで解説します。

外国人技術者を採用するときの在留資格は?

ITエンジニア、機械設計、建築設計、CADオペレーション、技術開発など、専門的な知識を使って働く外国人については、一般的に在留資格「技術・人文知識・国際業務」、いわゆる「技人国」が検討されます。

出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」の対象を、自然科学や人文科学の分野に属する技術・知識を必要とする業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務としています。機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務従事者などが代表例です。

したがって、「外国人だから技人国になる」のではなく、実際に担当する仕事内容が専門的な知識を必要とする仕事なのかを確認することが最初のポイントです。

例えば製造業でも、設計、プログラミング、技術開発などは技人国の対象となり得ますが、製造ラインでの組立作業を主な仕事とする場合は、原則として同じようには考えられません。建設業についても、建築設計、設計監理、建築積算などと、現場での土木作業・建設作業では在留資格上の位置付けが異なります。

外国人技術者を採用する前に何を確認すればよい?

採用後に「この仕事内容では就労ビザを取得できない」と分かると、企業にも本人にも大きな負担となります。

そのため、外国人採用では内定前または雇用契約を確定する前の段階で、少なくとも「現在の在留資格」「最終学歴と専攻」「職歴」「予定している仕事内容」「給与その他の雇用条件」を確認することが重要です。

特に重要なのが、学歴・職歴と仕事内容の関連性です。

技術・人文知識・国際業務のうち、自然科学・人文科学の専門知識を必要とする業務については、原則として、関連する科目を専攻して大学等を卒業していること、日本の専門学校の対象課程を修了していること、または関連する実務経験を10年以上有していることなどが求められます。

また、日本人が同じ仕事に従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬であることも基準の一つです。

したがって、人事担当者が「大学を卒業しているから大丈夫」とだけ判断するのはおすすめできません。

何を専攻したのか、その専攻内容と採用後の仕事内容がどのようにつながるのかまで確認する必要があります。

海外から採用する場合と日本国内の留学生を採用する場合では申請が違う

外国人技術者の採用では、本人が現在どこにいて、どの在留資格を持っているかによって手続が異なります。

採用する外国人の状況

主な手続

海外在住で、新たに日本へ呼び寄せる

在留資格認定証明書交付申請

日本の大学・専門学校・日本語学校等に在籍し「留学」で在留している

在留資格変更許可申請

日本で別の在留資格を持っている

現在の在留資格と仕事内容に応じて変更の要否を確認

すでに「技術・人文知識・国際業務」で勤務しており転職する

新しい仕事内容が現在の在留資格の範囲内かを確認

海外から採用する場合は、まず在留資格認定証明書(COE)の交付申請を行い、その後、本人が在外公館で査証の手続を行うのが一般的です。

一方、日本国内の留学生を新卒採用する場合には、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」への在留資格変更許可申請を行います。許可を受けるまでは、「技術・人文知識・国際業務」としての勤務を開始することはできないため、入社時期を考慮して準備する必要があります。

すでに技人国を持っている外国人を中途採用する場合も、現在の在留資格だけを見て採用を決めるのではなく、新しい会社で担当する仕事内容がその在留資格に該当するかを確認しておくことが大切です。

転職等によって契約機関との契約が終了した場合や新たな契約を締結した場合、外国人本人には原則として14日以内の「所属(契約)機関に関する届出」も必要です。

会社の「カテゴリー」によって必要書類が変わる

技術・人文知識・国際業務の申請では、外国人本人だけでなく、受入企業もカテゴリー1から4に分類されます。

中小企業の場合、カテゴリー3またはカテゴリー4に該当するケースが多くあります。

カテゴリー3は、原則として前年分の「職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を提出している団体・個人のうちカテゴリー2に該当しない機関です。

カテゴリー4は、それ以外の団体・個人で、設立したばかりで前年分の法定調書合計表をまだ提出していない会社などが該当することがあります。

カテゴリーによって提出する会社資料が大きく異なるため、申請準備では最初に自社がどのカテゴリーに該当するのかを確認します。

外国人技術者の就労ビザ申請ではどんな書類が必要?

具体的な書類は申請の種類、本人の経歴、会社のカテゴリーなどによって異なります。

代表的なものを整理すると次のようになります。

本人関係

会社・雇用関係

パスポート

労働条件通知書・雇用契約書

在留カード(国内在住の場合)

法定調書合計表

顔写真

登記事項証明書

履歴書

会社案内・事業内容を説明する資料

卒業証明書

直近年度の決算書

成績証明書等

申請人が担当する業務を説明する資料

職歴証明書(職歴を基準とする場合等)

新設会社の場合は事業計画書等

出入国在留管理庁が公開している必要書類はあくまで基本となるものです。

実際の申請では、本人の専攻と仕事内容との関連性、会社がなぜその人材を必要としているのか、実際にどのような専門業務を担当するのかを説明する資料が重要になることがあります。

このため、ケースによっては採用理由書や業務内容説明書、組織図、取引資料などを補足資料として提出することもあります。

特に、新設会社、事業内容から外国人本人の業務内容が分かりにくい会社、本人の専攻と仕事内容の関連性が一見して分かりにくいケースでは、単に必要書類一覧を揃えるだけではなく、申請全体の説明を組み立てることが重要です。

2026年4月からカテゴリー3・4の提出書類が一部変更

2026年の申請で特に注意したいのが、カテゴリー3・4に関する提出書類の変更です。

出入国在留管理庁では、2026年4月15日以降の申請について、カテゴリー3または4に該当する場合、「所属機関の代表者に関する申告書」の提出を追加しています。

また、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、業務上使用する言語についてCEFR B2相当の言語能力を有することを証する資料が求められる場合があります。

これはすべての外国人技術者に日本語能力試験等が必須になったという意味ではありません。

例えば、一般的な設計業務やシステム開発業務だから一律にB2の証明が必要になるというものではなく、実際に担当する業務内容を確認して判断する必要があります。

古いWeb記事や過去の申請書類をそのまま参考にすると、2026年現在の必要書類と異なる可能性があるため注意してください。

申請の流れは?

外国人技術者の採用を決めたら、最初に在留資格の要件を確認します。

STEP1 本人の学歴・職歴を確認する

卒業した学校、学部、学科、専攻内容、これまでの職歴などを確認します。

海外の大学を卒業している場合には、卒業証明書や成績証明書等から、どのような教育を受けてきたのか確認することも重要です。

STEP2 採用後の仕事内容を具体化する

「エンジニア」「技術職」「総合職」といった職種名だけでは十分ではありません。

実際に何を設計するのか、どのようなシステムを開発するのか、どのような専門知識を使う仕事なのかまで具体化します。

申請書、労働条件通知書、採用理由書などで仕事内容の説明が食い違わないようにすることも重要です。

STEP3 会社のカテゴリーを確認する

法定調書合計表などを確認し、受入企業がカテゴリー1から4のどこに該当するかを判断します。

特に設立直後の会社は、カテゴリー4となり提出資料が増えるケースがあります。

STEP4 申請書・添付資料を作成する

本人資料、会社資料、雇用条件に関する資料を揃え、在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行います。

在留手続はオンライン申請にも対応しており、申請取次の届出を行っている行政書士もオンライン申請を利用できます。

STEP5 入管の審査・追加資料に対応する

申請後、審査の過程で追加資料の提出を求められることがあります。

追加資料の依頼があったからといって、それだけで不許可になるという意味ではありません。

重要なのは、入管が何を確認しようとしているのかを読み取ったうえで回答することです。

入管から追加資料を求められた場合はどうする?

例えば、本人の専攻と仕事内容との関連性について確認されている場合、会社案内を追加するだけでは十分な回答にならないことがあります。

大学等で学んだ内容と、会社で担当する具体的な業務を対応させて説明する必要があります。

また、会社の事業実態について確認されているのであれば、取引実績や契約書、会社案内、組織体制などが説明材料になる可能性があります。

追加資料対応で大切なのは、「資料をたくさん提出すること」ではありません。

審査で問題となっているポイントを整理し、その疑問に回答できる資料と説明を提出することです。

最初の申請で提出した申請書や採用理由書との整合性にも注意する必要があります。

「採用理由書」は必ず必要?

採用理由書は、すべての技人国申請で法律上必ず提出しなければならない書類というわけではありません。

一方で、本人の学歴と業務内容の関連性が分かりにくい場合、会社の事業内容から本人の担当業務が想像しにくい場合、新設会社での採用などでは、有効な補足資料となることがあります。

採用理由書では単に「優秀な人材なので採用しました」と説明するのではなく、会社の事業、採用の背景、本人の知識・経験、具体的な担当業務、それらの関連性を一つのストーリーとして整理することが重要です。

外国人採用のビザ申請はいつから準備すべき?

外国人採用では、入社日から逆算して早めに確認を始めることをおすすめします。

特に留学生の新卒採用では、採用予定者が多数の企業から一斉に在留資格変更申請を行う時期と重なることがあります。

また、書類を集めてから「本人の専攻と仕事内容が合わない」と分かると、職務内容そのものを再検討しなければならない可能性もあります。

そのため、理想的なのは採用を決定してからビザを確認するのではなく、採用選考の段階で在留資格上の問題がないか確認しておくことです。

外国人技術者採用でよくある質問

Q.外国人本人が大学を卒業していれば技人国は取れますか?

大学卒業だけで自動的に許可されるわけではありません。

原則として、大学等で学んだ内容と採用後に担当する専門的な業務との関連性などが審査されます。また、仕事内容自体が「技術・人文知識・国際業務」に該当することも必要です。

Q.理系ではない外国人をITエンジニアとして採用できますか?

学歴だけでなく、本人の具体的な専攻内容、職歴、資格等によって判断が変わります。

情報処理に関する一定の試験・資格については学歴・実務経験要件の特例も設けられています。

そのため、「文系だから不可」「理系だから必ず許可」と単純に判断することはできません。

Q.日本語能力試験は必須ですか?

技術・人文知識・国際業務全体について、一律にJLPTの取得を許可要件としているわけではありません。

ただし、2026年4月15日以降、カテゴリー3・4で、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、業務上使用する言語についてCEFR B2相当の言語能力を証明する資料が必要となる場合があります。

Q.小さな会社でも外国人を採用できますか?

会社の規模だけを理由として技人国を取得できないわけではありません。

ただし、中小企業や設立直後の会社では、大企業に比べて会社の事業内容や経営状況、外国人が担当する業務などについて提出する資料が多くなるケースがあります。

Q.申請は会社自身でもできますか?

外国人本人による申請のほか、一定の要件を満たした所属機関の職員や、申請取次の届出を行っている行政書士等による手続も可能です。オンライン申請の対象にもなっています。

初めて外国人技術者を採用する企業の方へ

外国人採用の在留資格申請では、「必要書類を揃えること」以上に、採用する外国人の経歴と会社で担当する仕事を正しく整理することが重要です。

特に初めて外国人を採用する中小企業では、自社がどのカテゴリーに該当するのか、どこまで会社資料を準備すればよいのか、どのように仕事内容を説明すればよいのか分かりにくいことがあります。

行政書士しのはら事務所では、技術・人文知識・国際業務を中心とした外国人採用の在留資格申請サポートを行っています。

「この人を採用したいが、技人国の対象になるのか確認したい」

「留学生を新卒採用するので、留学から就労ビザへ変更したい」

「海外のエンジニアを日本へ呼び寄せたい」

「会社で書類を準備する時間がないので、外国人採用のビザ申請代行を依頼したい」

といった段階からご相談いただけます。

外国人採用では、採用が決まってからではなく、採用予定者の学歴・職歴と予定している仕事内容が分かった段階で在留資格を確認しておくことが、スムーズな採用につながります。

※本記事は2026年9月時点の制度・出入国在留管理庁公表資料をもとに一般的な情報をまとめたものです。個別案件では、本人の経歴、雇用条件、会社の状況等によって必要書類や審査上のポイントが異なります。

この記事を書いた人

篠原 博之

行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表

個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属

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