技人国申請で会社が準備する必要書類|認定・変更申請を企業向けに解説
外国人ビザ申請(在留資格)
公開日:2026/7/20
更新日:2026/7/20
外国人を「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用する場合、外国人本人の卒業証明書や履歴書だけでなく、雇用する会社側にもさまざまな書類の準備が必要です。
会社が準備する書類は、海外にいる外国人を呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」か、日本にいる留学生などが在留資格を変更する「在留資格変更許可申請」かによって一部異なります。
さらに、会社の規模や法定調書合計表の提出状況などによって、カテゴリー1から4に区分され、必要書類の範囲が変わります。
この記事では、外国人を採用する企業向けに、技人国申請で会社が準備する基本書類と、案件に応じて用意した方がよい説明資料を解説します。
※本記事は2026年7月時点の出入国在留管理庁の公表資料をもとに作成しています。実際の必要書類は、会社のカテゴリー、採用予定者の経歴、職務内容などによって異なります。
- 技人国の認定申請と変更申請の違い
- 在留資格認定証明書交付申請
- 在留資格変更許可申請
- 最初に会社のカテゴリーを確認する
- 技人国申請で会社が準備する基本書類
- 1.カテゴリーを証明する資料
- 2.雇用契約書または労働条件通知書
- 3.登記事項証明書
- 4.会社案内など事業内容が分かる資料
- 5.直近年度の決算書
- 6.新設会社の場合は事業計画書
- 7.所属機関の代表者に関する申告書
- 8.カテゴリー4で追加となる税務関係書類
- 言語を使った接客業務では言語能力の資料にも注意
- 留学生からの変更申請では書類を省略できる場合がある
- 公式の必要書類だけでは説明が足りない場合がある
- 雇用理由書
- 職務内容説明書
- 組織図・配属図
- 業務量を示す資料
- 日本人従業員との報酬比較資料
- 個人事業主が外国人を雇用する場合の必要書類
- 書類を準備するときの注意点
- 書類間の内容を一致させる
- 職種名だけで説明を終わらせない
- 外国語の書類には日本語訳を付ける
- 必要書類は早めに確認する
- まとめ
技人国の認定申請と変更申請の違い
技術・人文知識・国際業務の申請には、主に次の2種類があります。
在留資格認定証明書交付申請
海外にいる外国人を日本へ呼び寄せて採用する場合に行う申請です。
在留資格認定証明書の交付後、外国人本人が現地の日本大使館・総領事館等で査証申請を行い、日本へ入国します。
在留資格変更許可申請
日本にいる留学生、家族滞在者、特定技能外国人などを採用し、現在の在留資格から技術・人文知識・国際業務へ変更する場合に行う申請です。
変更許可を受ける前に、技術・人文知識・国際業務に該当する業務を開始することはできません。
認定申請と変更申請では、申請書や本人側の提出書類に違いがありますが、会社の事業内容、雇用条件、担当業務などを示す書類は、基本的に共通するものが多くなっています。出入国在留管理庁は、申請の種類と所属機関のカテゴリーごとに提出書類を定めています。
最初に会社のカテゴリーを確認する
技人国申請では、外国人を受け入れる会社や個人事業主を、カテゴリー1から4に区分します。
カテゴリー | 主な所属機関 |
|---|---|
カテゴリー1 | 上場企業、国・地方公共団体、独立行政法人、一定の認定を受けた企業など |
カテゴリー2 | 前年分の法定調書合計表に記載された給与所得の源泉徴収税額が1,000万円以上の団体・個人など |
カテゴリー3 | 前年分の法定調書合計表を提出している団体・個人のうち、カテゴリー2に該当しないもの |
カテゴリー4 | カテゴリー1から3のいずれにも該当しない団体・個人 |
設立後間もなく、前年分の法定調書合計表をまだ提出していない会社や、開業直後の個人事業主は、通常カテゴリー4に該当します。
カテゴリー1・2では、会社に関する添付書類の多くが原則として省略されます。一方、一般的な中小企業が該当することの多いカテゴリー3や、設立直後の会社等が該当するカテゴリー4では、会社の事業内容や経営状況を示す資料が必要です。
技人国申請で会社が準備する基本書類
ここからは、カテゴリー3・4の会社を中心に、会社側で準備する主な書類を説明します。
1.カテゴリーを証明する資料
カテゴリー3の会社では、一般的に次の資料を提出します。
前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表の写し
法定調書合計表は、税務署の受付が確認できるものを用意します。
カテゴリーを証明する資料を提出できない場合は、原則としてカテゴリー4として取り扱われます。
2.雇用契約書または労働条件通知書
外国人を従業員として雇用する場合は、労働条件を明示した書類を提出します。
書類には、主に次の内容を記載します。
雇用期間
勤務場所
担当する職務内容
勤務時間
休日
基本給・手当
雇用形態
技人国の審査では、職種名だけでなく、実際にどのような業務を担当するのかが重要です。
「総合職」「営業職」「技術職」などの抽象的な記載だけでは、専門的な業務であることが十分に伝わらない場合があります。雇用契約書とは別に、詳しい職務内容説明書を作成することもあります。
なお、外国人であることを理由に、同様の業務に従事する日本人より低い報酬を設定することはできません。
出入国在留管理庁の提出書類一覧でも、労働契約を締結する場合は、労働条件を明示する文書が必要書類として挙げられています。
3.登記事項証明書
法人が外国人を雇用する場合は、会社の登記事項証明書を提出します。
商号、本店所在地、会社の目的、役員など、申請書に記載する会社情報と登記内容が一致しているか確認しましょう。
日本国内で発行される証明書については、原則として発行日から3か月以内のものを提出します。
個人事業主には法人登記がないため、開業届、営業許可証、事業所の賃貸借契約書など、事業の実態を示す別の資料を検討します。
4.会社案内など事業内容が分かる資料
会社がどのような事業を行っているかを明らかにする資料を提出します。
出入国在留管理庁は、会社の沿革、役員、組織、事業内容、主要取引先、取引実績などが詳しく記載された案内書などを挙げています。
具体的には、次のような資料が考えられます。
会社案内・パンフレット
会社のホームページを印刷したもの
事業内容説明書
組織図
取扱商品・サービスの資料
主要取引先や取引実績が分かる資料
ホームページがあっても、事業内容や採用予定者の配属先が十分に分からない場合は、会社概要や事業内容説明書を別途作成します。
5.直近年度の決算書
カテゴリー3・4の会社では、原則として直近年度の決算文書の写しを提出します。
一般的には、次の書類を準備します。
貸借対照表
損益計算書
赤字決算や債務超過であることのみを理由に、直ちに技人国の申請が認められなくなるわけではありません。
ただし、外国人へ継続的に給与を支払えるか、事業を安定して継続できるかについて、追加の説明が必要になる可能性があります。
赤字の理由、今後の売上見込み、資金繰り、受注状況などを説明する事業計画書や補足説明書を用意する場合もあります。
6.新設会社の場合は事業計画書
設立後、まだ決算期を迎えていない会社では、直近年度の決算書を提出できません。
この場合、出入国在留管理庁の提出書類一覧では、新規事業について事業計画書を提出することとされています。
事業計画書には、次のような内容を盛り込みます。
事業の概要
商品・サービスの内容
取引先や顧客
売上・経費の見込み
採用後の組織体制
外国人を採用する理由
外国人に担当してもらう業務
今後の事業展開
単に売上予測を示すだけでなく、外国人を採用する必要性と、継続して専門業務を担当してもらうだけの業務量があることを説明することが重要です。
7.所属機関の代表者に関する申告書
2026年4月15日以降、カテゴリー3または4に該当する会社等による認定申請・変更申請では、原則として「所属機関の代表者に関する申告書」の提出が必要です。
これは、会社や団体の代表者に関する所定の事項を申告する参考様式です。
以前に技人国申請を行ったことがある会社でも、最新の提出書類チェックシートを確認する必要があります。
8.カテゴリー4で追加となる税務関係書類
設立直後の会社など、前年分の法定調書合計表を提出できないカテゴリー4の場合は、その理由を示す資料も必要です。
一般的には、次の資料を準備します。
給与支払事務所等の開設届出書の写し
直近3か月分の給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書
納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることが分かる資料
まだ給与の支払いを開始していないなど、会社の状況によって準備できる資料が異なるため、個別に確認が必要です。
言語を使った接客業務では言語能力の資料にも注意
2026年4月15日以降、カテゴリー3・4の申請で、翻訳・通訳やホテルのフロント業務など、主に言語能力を使った対人業務に従事する場合は、原則として業務上使用する言語についてCEFR B2相当の能力を証明する資料が必要です。
日本語を使用する業務では、JLPT N2以上やBJTビジネス日本語能力テスト400点以上など、一定の条件を満たす場合にCEFR B2相当とみなされます。日本の大学等を卒業・修了している場合などにも例外があります。
これは外国人本人が取得する資料ですが、会社側も、採用後にどの言語を使い、どのような対人業務を担当してもらうのかを確認しておく必要があります。
留学生からの変更申請では書類を省略できる場合がある
2025年12月1日以降、「留学」から技術・人文知識・国際業務への変更申請について、一定の条件を満たす場合は、カテゴリー2と同様に一部の提出書類を省略できる制度が設けられています。
対象となるのは、主に次のケースです。
日本の大学院・大学・短期大学を卒業または卒業予定の留学生
一定の世界大学ランキングで上位に入る海外大学の卒業者
留学から就労資格へ変更した外国人を受け入れ、一定の更新実績がある所属機関で就労する場合
省略を希望する場合は、所定の説明書を申請書に添付します。派遣形態で雇用する場合は、この省略制度の対象外です。
ただし、審査の状況によっては、省略した書類を追加で求められることがあります。
公式の必要書類だけでは説明が足りない場合がある
出入国在留管理庁が掲載している書類は、申請に必要となる基本的な資料です。
実際の審査では、外国人本人の学歴・職歴と担当業務の関連性、会社における専門業務の必要性、十分な業務量があるかなどを説明するため、次のような補足資料を提出することがあります。
雇用理由書
なぜ外国人を採用するのか、採用後にどのような役割を担ってもらうのかを説明します。
特に、次のような会社では雇用の必要性を丁寧に説明することが重要です。
初めて外国人を採用する会社
従業員数が少ない会社
設立直後の会社
新規事業を開始する会社
個人事業主
職務内容説明書
外国人が日常的に担当する業務を具体的に記載します。
例えば「施工管理」とだけ記載するのではなく、工程管理、安全管理、品質管理、図面確認、協力会社との調整など、実際の業務を整理します。
製造業では、生産管理・品質管理などの専門業務と、製造ラインでの作業を区別して説明する必要があります。
組織図・配属図
外国人の配属部署、上司、同僚、既存従業員との役割分担を示します。
会社内で外国人がどのような専門的役割を担当するのかを説明しやすくなります。
業務量を示す資料
専門業務を継続して担当させるだけの業務があることを示すため、次のような資料を用いることがあります。
取引基本契約書
発注書・請求書
プロジェクト一覧
顧客数・案件数が分かる資料
業務スケジュール
商品やサービスの説明資料
日本人従業員との報酬比較資料
外国人の報酬が、日本人が同様の業務に従事する場合と同等以上であることを説明するため、賃金規程や同職種の給与資料を提出することがあります。
個人事業主が外国人を雇用する場合の必要書類
個人事業主であっても、技術・人文知識・国際業務に該当する専門的な業務で外国人を雇用することは可能です。
ただし、法人のような登記事項証明書や会社案内がない場合が多いため、次のような資料を組み合わせて事業の実態を説明します。
個人事業の開業届
確定申告書・青色申告決算書
営業許可証
事業所の賃貸借契約書
ホームページ・パンフレット
取引契約書・請求書
事業計画書
雇用理由書
職務内容説明書
事業規模の大小だけで判断されるわけではありません。
事業の実態、外国人を雇用する必要性、担当させる専門業務、継続的な業務量、報酬を支払える事業基盤などを、資料に基づいて説明することが重要です。
書類を準備するときの注意点
書類間の内容を一致させる
申請書、雇用契約書、求人票、履歴書、会社案内などで、次の情報に食い違いがないか確認します。
職務内容
勤務場所
雇用期間
入社予定日
報酬額
会社名・所在地
例えば、求人票には「通訳」と記載されている一方、雇用契約書には「店舗業務全般」と書かれていると、実際の業務内容が分かりにくくなります。
職種名だけで説明を終わらせない
「営業」「生産管理」「施工管理」「マーケティング」といった職種名だけでは、技人国に該当する専門業務か判断できない場合があります。
誰に対して、何を使い、どのような判断や作業を行うのかまで具体的に整理しましょう。
外国語の書類には日本語訳を付ける
外国語で作成された証明書等を提出する場合は、日本語訳を添付します。
卒業証明書や職歴証明書だけでなく、海外本社が発行した会社資料などについても、日本語訳が必要です。
必要書類は早めに確認する
必要書類に不足があると、審査の遅延や追加資料提出につながります。
特に留学生を4月から採用する場合、出入国在留管理庁は、原則として前年12月1日から1月末までの申請を案内しています。卒業証明書、成績証明書、会社資料の準備期間も考慮し、早めに確認を始めることが重要です。
まとめ
技人国申請で会社が準備する主な書類は、次のとおりです。
会社のカテゴリーを証明する資料
雇用契約書・労働条件通知書
登記事項証明書
会社案内・事業内容説明資料
直近年度の決算書
新設会社の場合は事業計画書
所属機関の代表者に関する申告書
カテゴリー4の場合は給与支払事務所等の開設届出書など
ただし、これらの書類を形式的にそろえるだけで、必ず十分な申請になるとは限りません。
採用予定者の学歴・職歴、担当予定の業務、会社の事業内容などを確認し、必要に応じて雇用理由書、職務内容説明書、組織図、業務量を示す資料などを追加することが重要です。
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この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第2408248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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