2026年、技人国の審査は厳しくなった?最近の審査傾向と企業が注意すべきポイント
外国人ビザ申請(在留資格)
公開日:2026/8/8
更新日:2026/8/8
結論からいうと、出入国在留管理庁が「技人国の審査を一律に厳格化した」と公表しているわけではありません。
ただし、2026年4月以降、カテゴリー3・4企業の追加提出書類や、一定の対人業務における言語能力資料の提出など、従来より確認事項が具体化されています。
また、仕事内容、学歴との関連性、実務研修、所属機関の状況などについても、申請内容に応じた丁寧な立証がこれまで以上に重要になっています。
そのため、「以前よりも審査が細かくなった」と感じる場面はあると考えられます。
この記事では、2026年現在の制度変更を踏まえながら、企業が技人国で外国人を採用する際に注意しておきたいポイントを解説します。
- 「審査の厳格化」と「確認事項の明確化」は分けて考える必要があります
- 2026年4月15日からカテゴリー3・4では提出書類が追加
- 言語能力を使う一定の対人業務ではCEFR B2相当の資料が必要に
- 実務研修や現場作業についても取扱いが明確化
- ホテル・旅館で働く場合も仕事内容の整理が重要
- 最近の申請で特に注意したい5つのポイント
- 1.職務内容を具体的にする
- 2.学歴・専攻と仕事内容との関連性を確認する
- 3.単純作業が主な仕事になっていないか確認する
- 4.会社の事業内容と採用理由を説明できるようにする
- 5.「すでに技人国を持っている外国人」でも仕事内容を確認する
- 派遣形態で働く技人国も確認事項が増えています
- 追加資料を求められた=不許可になるという意味ではありません
- 技人国は「申請書を出す前」の確認が重要です
- まとめ|「審査が厳しくなった」より「説明できる申請」が重要
- 参考資料
「審査の厳格化」と「確認事項の明確化」は分けて考える必要があります
まず注意したいのが、「最近、技人国の審査が厳しい」という話だけをもって、技人国全体の許可基準が一律に引き上げられたと考えるのは適切ではないということです。
技人国では以前から、
外国人本人の学歴・職歴
学歴や職歴と担当業務との関連性
担当する業務が技人国に該当するか
日本人と同等以上の報酬が予定されているか
雇用する企業に事業の安定性・継続性があるか
などが審査の対象となっています。
これらの基本的な考え方が2026年になって突然新しく設けられたわけではありません。
一方で、2026年には提出書類の追加や、特定の業務についての取扱いの明確化が行われています。
したがって、現在の状況は、
「技人国全体の基準が突然厳しくなった」というよりも、「企業や仕事内容について、より具体的に確認できるよう制度や提出資料が整理されている」
と捉える方が実態に近いと考えられます。
2026年4月15日からカテゴリー3・4では提出書類が追加
2026年4月15日以降の技人国の申請では、カテゴリー3またはカテゴリー4に該当する所属機関について、原則として新たに
「所属機関の代表者に関する申告書」
の提出が必要となりました。
技人国の申請では、外国人本人だけでなく、受入企業についても審査が行われます。
特にカテゴリー3・4の企業は、カテゴリー1・2の企業と比較すると、もともと登記事項証明書、会社案内、決算書、新規事業の場合には事業計画書など、会社の事業内容や継続性を確認するための資料が多く求められます。
今回、代表者に関する申告書が追加されたことからも、外国人本人の学歴や職務内容だけではなく、受入企業についても適切に説明できるよう準備しておくことが重要といえます。
特に、
設立したばかりの会社
新規事業で外国人を採用する会社
直近の決算が赤字となっている会社
事業内容と外国人の担当業務との関係が分かりにくい会社
などでは、「会社が実際にどのような事業を行っており、なぜその外国人を採用する必要があるのか」を具体的に説明できるようにしておくことが大切です。
言語能力を使う一定の対人業務ではCEFR B2相当の資料が必要に
2026年4月15日以降、カテゴリー3・4に該当する所属機関で、主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合には、業務上使用する言語について「CEFR B2相当」の言語能力を有することを証する資料が求められるようになりました。
また、同日、出入国在留管理庁は「翻訳・通訳業務等の言語能力を用いる対人業務に従事する場合の在留資格の明確化について」という資料を新たに公表しています。
これは、単に「外国語を使う仕事だから国際業務に該当する」という判断ではなく、
実際にどの言語を使用するのか
どの程度その言語を使用するのか
外国語能力をどのような業務に利用するのか
その業務が技人国として認められる専門的な業務なのか
といった点を具体的に確認することが重要になっていることを示しています。
たとえば、外国人観光客への対応を行う仕事であっても、外国語を使用しているという理由だけで、すべての接客業務が技人国に該当するわけではありません。
「外国語を使う」ということと、「技人国に該当する専門的な業務である」ということは、分けて考える必要があります。
実務研修や現場作業についても取扱いが明確化
技人国は、専門的な技術・知識などを必要とする業務を行うための在留資格です。
そのため、製造、清掃、運搬など、専門的な知識や技術を必要としない作業を主たる業務として行うことは、原則として技人国の活動には該当しません。
一方、新入社員研修などでは、日本人社員と同様に一定期間、店舗や製造現場などで研修を行うこともあります。
このような場合に、どこまでの実務研修が技人国として認められるのかは、企業からのご相談が多い論点の一つです。
出入国在留管理庁は「技術・人文知識・国際業務の在留資格で許容される実務研修について」という資料を公表しており、この内容も2026年4月15日に更新されています。
したがって、
「研修だから何をさせても問題ない」
というわけではありません。
研修の内容、期間、その後に担当する専門的業務との関係、日本人新入社員にも同様の研修を実施しているかなど、申請前に確認しておく必要があります。
ホテル・旅館で働く場合も仕事内容の整理が重要
ホテル・旅館で外国人を雇用する場合も、仕事内容について特に注意が必要です。
出入国在留管理庁は「ホテル・旅館等において外国人が就労する場合の在留資格の明確化について」を公表しており、この資料も2026年4月15日に更新されています。
ホテル・旅館の業務には、
外国語を使用したフロント業務
海外旅行会社との交渉
外国人宿泊客への通訳
海外向けの広報・マーケティング
宿泊プランの企画
などの専門的な業務がある一方で、
客室清掃
ベッドメイク
荷物の運搬
館内清掃
などの業務もあります。
「ホテルで働く」というだけで技人国に該当するかどうかを判断することはできません。
外国人が実際にどの業務を、どの程度担当する予定なのかを具体的に整理する必要があります。
最近の申請で特に注意したい5つのポイント
制度変更だけに目を向けるのではなく、企業が技人国で外国人を採用するときには、従来から重要とされている基本的な審査ポイントも確認する必要があります。
1.職務内容を具体的にする
技人国の申請で非常に重要なのが、外国人が採用後に実際に行う仕事内容です。
たとえば、
「営業」
「エンジニア」
「管理業務」
といった職種名だけでは、実際に何をするのか十分に分かりません。
申請では、
どのような商品・サービスを扱うのか
誰を相手に仕事をするのか
どのような知識や技術を使用するのか
日常的にどのような業務を行うのか
などを具体的に整理します。
たとえばITエンジニアであれば、「システム開発」だけではなく、使用する技術、開発するシステム、担当工程などを確認することで、本人の学歴や職歴との関連性も判断しやすくなります。
2.学歴・専攻と仕事内容との関連性を確認する
技人国では、外国人本人が大学や専門学校などで学んだ内容と、採用後に担当する仕事内容との関連性が重要です。
特に専門学校卒業者の場合には、大学卒業者と比較して専攻と仕事内容との関連性がより重要になるケースがあります。
そのため、採用時には卒業証明書だけでなく、成績証明書や履修科目を確認しておくことをおすすめします。
「大学を卒業しているから技人国を取得できる」
「専門士を持っているから問題ない」
と資格だけで判断するのではなく、何を学び、その知識を採用後にどのように活用するのかまで確認することが重要です。
3.単純作業が主な仕事になっていないか確認する
求人票や雇用契約書では専門職として採用していても、実際の勤務では単純作業が中心になってしまうケースがあります。
たとえば、
「将来的には施工管理を担当してもらうが、最初の1年間は現場作業だけをしてもらう」
「将来的には店舗管理を担当するが、当面はホールスタッフとして勤務する」
といった場合には注意が必要です。
重要なのは肩書ではなく、実際の活動内容です。
外国人採用では、入社後に任せる業務まで含めて在留資格との整合性を確認しておく必要があります。
4.会社の事業内容と採用理由を説明できるようにする
外国人本人の経歴に問題がなくても、企業側の状況によって追加説明が必要になる場合があります。
特に、
設立したばかり
新しい事業を開始したばかり
外国人が担当する仕事と会社の事業内容との関係が分かりにくい
といったケースでは注意が必要です。
たとえば、新たに海外向け事業を開始するため外国人を海外営業担当として採用するのであれば、
「これから海外展開する予定です」
という説明だけではなく、
どの国へ展開するのか
どの商品を販売するのか
取引予定先はあるのか
外国人にどのような役割を任せるのか
などを具体的に説明できるよう準備します。
新設会社や新規事業の場合には、事業計画書などを通じて会社の事業の継続性や採用の必要性を説明することも重要です。出入国在留管理庁の提出書類でも、新規事業の場合は事業計画書が必要書類として示されています。
5.「すでに技人国を持っている外国人」でも仕事内容を確認する
中途採用で特に注意したいポイントです。
候補者から、
「今も技人国で働いています」
と言われると、そのまま採用できるように思えるかもしれません。
しかし、技人国の在留資格を持っていることと、新しい会社で予定している仕事内容が技人国に該当することは別の問題です。
前職がITエンジニアで技人国を取得していても、転職後の仕事が全く異なる業務であれば、その業務が在留資格の範囲内か改めて検討する必要があります。
また、カテゴリー3または4の企業に転職した後の最初の在留期間更新では、通常の更新に加えて、新しい勤務先についての資料が求められる場合があります。
外国人の中途採用では、内定前に
「現在の在留資格」+「本人の学歴・職歴」+「採用後の仕事内容」
の3点を確認することをおすすめします。
派遣形態で働く技人国も確認事項が増えています
派遣会社が技人国の外国人を採用し、派遣先企業で勤務させる場合も注意が必要です。
出入国在留管理庁は派遣形態で就労する技人国について取扱いを整理しており、2026年3月9日申請分から提出書類が変更されています。
また、申請時点で派遣先が決まっていない場合には許可等を受けることができず、派遣先を確定させた上で申請する必要があるとされています。
審査では、派遣元だけでなく派遣先に対して、外国人の業務内容や活動状況について直接確認が行われる場合があることも示されています。
派遣会社の場合には、
「派遣元で採用する外国人が技人国の要件を満たすか」
だけではなく、
「派遣先で実際にどのような仕事をするのか」
まで確認することが重要です。
追加資料を求められた=不許可になるという意味ではありません
申請後、出入国在留管理局から追加資料の提出を求められることがあります。
追加資料の提出通知が届くと、
「何か問題があったのではないか」
「不許可になるのではないか」
と心配される方も少なくありません。
しかし、追加資料を求められたからといって、それだけで不許可になることが決まったわけではありません。
審査官が許可・不許可を判断するために、申請時の資料だけでは確認できなかった事項について追加の説明を求めている場合もあります。
重要なのは、何を確認するためにその資料が求められているのかを考え、質問の趣旨に沿って回答することです。
単に指定された書類を提出するだけでなく、必要に応じて理由書や説明資料を添付することも検討します。
技人国は「申請書を出す前」の確認が重要です
外国人採用では、
「内定を出した後に行政書士へ相談する」
というケースも多くあります。
しかし、技人国についてはできるだけ採用を決定する前に、
現在の在留資格
学歴・専攻
職歴
採用後の仕事内容
雇用条件
会社の事業内容
を確認することをおすすめします。
採用を決めた後になって、
「この学歴では予定している仕事との関連性が弱い」
「この仕事内容では技人国として認められない可能性がある」
ということが分かると、企業・外国人双方に大きな負担となります。
特に、海外から外国人を呼び寄せる場合や、留学生を新卒採用する場合には、入社予定日から逆算して在留資格の申請準備を進める必要があります。
まとめ|「審査が厳しくなった」より「説明できる申請」が重要
2026年現在、出入国在留管理庁が「技人国全体の審査を一律に厳格化した」と公表しているわけではありません。
しかし、2026年4月15日以降、
カテゴリー3・4における代表者に関する申告書の追加
一定の対人業務におけるCEFR B2相当の言語能力資料
実務研修に関する取扱いの更新
ホテル・旅館での就労に関する取扱いの更新
翻訳・通訳等の言語能力を使用する対人業務の明確化
などが行われています。
したがって、
「技人国だからこの仕事ができるだろう」
「以前に同じような外国人が許可されたから今回も大丈夫だろう」
と判断するのではなく、個々の申請について、
外国人本人の経歴 × 仕事内容 × 受入企業
の整合性を確認することが、これまで以上に重要です。
行政書士しのはら事務所では、技術・人文知識・国際業務の在留資格申請だけでなく、
採用予定者が技人国の要件を満たしているか
採用予定の仕事内容で就労できるか
学歴と仕事内容に関連性があるか
新設会社・新規事業でも申請できるか
転職予定の外国人をそのまま採用できるか
といった、外国人採用前のご相談にも対応しています。
「この外国人を、この仕事内容で採用できるのか確認したい」という企業様も、お気軽にご相談ください。
参考資料
本記事は、出入国在留管理庁が公表している「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」および「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」等の情報をもとに、2026年8月8日時点の制度を整理しています。
※在留資格の審査は、申請人の経歴、勤務先、職務内容その他の個別事情を踏まえて行われます。本記事は一般的な制度を解説するものであり、個別案件の許可を保証するものではありません。
この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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