技人国は学歴と仕事内容の関連性が必要?大学・専門学校・実務経験別に行政書士が解説
外国人ビザ申請(在留資格)
公開日:2026/8/8
更新日:2026/8/8
外国人を「技術・人文知識・国際業務」(以下「技人国」といいます。)で採用する際、特に重要になるのが、外国人がこれまで学んできた内容と、採用後に担当する仕事内容との関連性です。
採用担当者の方からも、
「大学では経営学を学んでいますが、営業職で採用できますか?」
「ITとは関係のない学部を卒業していますが、エンジニアとして採用できますか?」
「専門学校で学んだ内容と仕事が少し違っていても大丈夫ですか?」
といったご相談をいただくことがあります。
結論からいうと、技人国では学歴と仕事内容との関連性が重要ですが、専攻名と職種名が完全に一致している必要があるわけではありません。
また、大学卒業者と専門学校卒業者では、関連性の判断方法にも違いがあります。
この記事では、技人国における学歴・専攻と仕事内容の関連性について、採用担当者の方にも分かりやすいように解説します。
- 結論|「専攻名=職種名」である必要はありません
- 技人国の学歴・実務経験要件
- 大学卒業者の場合
- 大学の場合、専攻と仕事内容の関連性は比較的柔軟に判断されます
- 大学卒でも「何でもできる」わけではありません
- 専門学校卒業者の場合
- 専門学校は大学よりも関連性が重要
- 学科名だけで判断しないことが重要
- 認定専修学校専門課程では関連性が柔軟に判断されます
- 海外の大学を卒業している場合は?
- 日本語学校で学んだ内容は学歴要件になる?
- 実務経験によって申請する場合
- 「国際業務」は学歴との関連性の考え方が少し違います
- ITエンジニアには学歴・実務経験の特例があります
- 具体例|学歴と仕事内容の関連性はどう考える?
- 成績証明書では何を確認する?
- 関連性が分かりにくいときはどうする?
- 採用担当者は「内定前」に学歴を確認するのがおすすめ
- よくある質問
- Q. 大学の学部と仕事内容が違うと技人国は取れませんか?
- Q. 専門学校卒業者も同じですか?
- Q. 大卒なら単純作業もできますか?
- Q. 海外大学卒業者でも申請できますか?
- Q. 学歴との関連性が弱い場合、雇用理由書を書けば許可されますか?
- まとめ|学部名ではなく「学んだ内容」と「実際の仕事内容」を確認する
- 参考資料
結論|「専攻名=職種名」である必要はありません
技人国は、日本の会社などとの契約に基づき、自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識を必要とする業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事するための在留資格です。
出入国在留管理庁は、技人国の例として、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務従事者などを挙げています。
「技術」や「人文知識」に該当する業務の場合、原則として、大学等でその業務に必要となる技術・知識に関連する科目を専攻していること、または一定の実務経験があることなどが求められます。
しかし、
「経営学部を卒業した人は経営の仕事しかできない」
「情報工学という学科名でなければITエンジニアになれない」
というように、学部・学科名と職種名だけを機械的に比較して判断するわけではありません。
実際には、
どのような科目を履修したのか
どのような知識を身につけたのか
採用後にどのような業務を担当するのか
その業務で大学等で学んだ知識をどのように活用するのか
などを総合的に確認します。
技人国の学歴・実務経験要件
まず、技人国の「技術・人文知識」に該当する業務については、大きく分けると、
大学等で関連する科目を専攻したこと
日本の一定の専門学校等を修了していること
関連する業務について原則10年以上の実務経験があること
IT分野では、一定の情報処理技術に関する試験・資格による特例
などのルートがあります。
出入国在留管理庁の現在の必要書類でも、大学等の卒業証明書、関連業務の実務経験を証明する文書、一定のIT資格等が学歴・職歴を立証する資料として示されています。
つまり、技人国の審査では単に「大学を卒業しているか」だけを見るのではなく、外国人本人が予定されている業務を行うための専門的な知識・技術を有しているかという視点が重要になります。
大学卒業者の場合
大学の場合、専攻と仕事内容の関連性は比較的柔軟に判断されます
大学卒業者については、大学での専攻と担当業務との関連性は比較的柔軟に判断されています。
出入国在留管理庁も、大学卒業者については、大学という教育機関の性格を踏まえ、大学での専攻科目と従事する業務との関連性を柔軟に判断する運用を示しています。また、海外の大学についても同様の考え方で取り扱われています。
そのため、
大学の学部名と会社での職種名が一致していない
という理由だけで、直ちに技人国が認められないわけではありません。
例えば、経営学部を卒業した外国人を、
法人営業
マーケティング
経営企画
貿易業務
などで採用する場合には、大学で履修した経営学、マーケティング、会計、統計、国際ビジネスなどの科目と、実際の仕事内容との関連性を検討することになります。
大学卒でも「何でもできる」わけではありません
一方で、
「大学を卒業していれば、どんな仕事でも技人国でできる」
という意味ではありません。
そもそも採用後の業務自体が、自然科学・人文科学の専門的な知識を必要とする仕事でなければ、技人国には該当しません。
例えば、大学を卒業している外国人であっても、
製造ラインでの作業
商品の梱包
清掃
荷物の運搬
建設現場での作業
などを主な仕事として担当する場合、大学での専攻との関連性以前に、その仕事内容自体が技人国に該当するのかを検討する必要があります。
技人国については、「本人の学歴」と「仕事内容」の両方を確認することが重要です。
専門学校卒業者の場合
専門学校は大学よりも関連性が重要
日本の専修学校の専門課程を修了して「専門士」等の要件を満たしている場合にも、技人国を取得できる可能性があります。
ただし、一般的な専門学校卒業者については、大学卒業者と比べ、専門学校で学んだ内容と採用後の仕事内容との関連性がより重要です。
出入国在留管理庁のQ&Aでも、日本の専修学校専門課程を修了し専門士の称号を有する場合には、従事する業務に必要となる技術・知識と、専門課程における専攻科目との関連性が認められることが必要とされています。
そのため、専門学校卒業者を採用する場合には、
卒業証明書だけで判断せず、成績証明書や履修科目も確認する
ことをおすすめします。
学科名だけで判断しないことが重要
例えば、
「国際ビジネス学科」
という学科を卒業しているからといって、
「国際」という名前があるから海外営業なら大丈夫
と判断するのはおすすめできません。
実際に、
経営学
マーケティング
貿易実務
会計
ビジネス英語
情報処理
など、どのような科目を履修しているのかを確認します。
逆に、学科名だけでは仕事内容との関連性が分かりにくい場合でも、履修科目を詳しく確認すると、予定している仕事に必要な知識を十分に学んでいることが分かることもあります。
採用担当者としては、
学校名 → 学科名 → 履修科目
まで確認することがポイントです。
認定専修学校専門課程では関連性が柔軟に判断されます
専門学校卒業者について重要な制度改正があります。
文部科学大臣の認定を受けた「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の対象となる専門課程等を修了した外国人については、従来よりも、専攻科目と就職後の仕事内容との関連性を柔軟に判断する運用となっています。
これは、認定された課程では企業と連携した実習などが行われ、修得した知識を応用する能力が期待できることなどを踏まえたものです。
そのため、専門学校卒業者を採用する場合には、
その外国人が卒業した課程が「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」の認定対象であるか
も確認しておきたいポイントです。
ただし、認定課程を卒業していれば仕事内容を問わず技人国が認められる、という意味ではありません。
採用後の仕事内容そのものが技人国に該当する必要があることに変わりはありません。
海外の大学を卒業している場合は?
海外の大学を卒業している場合も、技人国の学歴要件を満たすことがあります。
出入国在留管理庁のQ&Aでも、海外の大学を卒業している場合について学歴要件を満たす旨が案内されています。
海外大学卒業者を採用する際には、
卒業証明書
学位証明
成績証明書
などを確認します。
特に、卒業証明書だけでは専攻内容が分かりにくい場合や、日本にはあまりない学部・学科の場合には、成績証明書などから実際の履修内容を確認することが重要です。
必要に応じて日本語訳も準備します。
日本語学校で学んだ内容は学歴要件になる?
よくある誤解の一つです。
日本語学校を卒業したこと自体は、通常、技人国の「大学等で関連科目を専攻した」という学歴要件を満たすものではありません。
例えば、
海外の大学を卒業
↓
日本の日本語学校へ留学
↓
日本企業へ就職
という場合には、技人国の学歴については、基本的に海外大学での学歴・専攻を確認します。
実際に入管庁も、海外の大学・大学院を卒業・修了した後に一定の日本語教育機関で学ぶ留学生について、卒業後の継続就職活動制度を設けています。
したがって、日本語学校に通っている外国人を採用する場合には、日本語学校の履歴だけを見るのではなく、その前の大学等の学歴まで確認する必要があります。
実務経験によって申請する場合
大学等で仕事内容に関連する科目を専攻していない場合でも、一定の実務経験によって技人国の要件を満たすことがあります。
技術・人文知識に該当する業務の場合には、原則として10年以上の関連する実務経験が基準の一つとなります。
また、大学等で関連する科目を専攻した期間も、実務経験期間に含めることができる場合があります。
出入国在留管理庁の2026年の資料でも、技人国と特定技能の違いについて、技人国の基本的な許可基準を「大卒程度又は実務経験10年以上」、国際業務については「3年以上」と整理しています。
実務経験によって申請する場合には、
在職証明書
職務経歴証明書
過去の勤務先の資料
などによって、実際にどのような業務を、どのくらいの期間行っていたのかを証明する必要があります。
単に履歴書に「10年間勤務」と記載するだけではなく、関連業務に従事していたことを客観的な資料で立証できるかが重要です。
「国際業務」は学歴との関連性の考え方が少し違います
ここは注意が必要です。
「技術・人文知識・国際業務」という一つの在留資格ではありますが、
技術・人文知識に該当する業務
と、
外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする「国際業務」
では、基準が完全に同じではありません。
国際業務には、
翻訳
通訳
語学の指導
広報
宣伝
海外取引
デザイン
商品開発
などの一定の業務があります。
国際業務では原則として関連する業務について3年以上の実務経験が必要とされますが、大学を卒業した者が翻訳・通訳または語学の指導に従事する場合には、この3年以上の実務経験を証明する資料は不要とされています。
そのため、
「技人国では必ず大学の専攻と仕事内容に関連性がなければならない」
と一律に説明するのも正確ではありません。
具体的にどの活動で申請するのかまで確認することが必要です。
ITエンジニアには学歴・実務経験の特例があります
ITエンジニアについても例外があります。
通常の学歴・実務経験要件を満たしていない場合でも、法務大臣が告示で定める一定の情報処理技術に関する試験に合格している、または一定の資格を保有している場合には、特例によって要件を満たすことがあります。
対象には、日本の情報処理技術者試験だけでなく、告示で指定された海外の試験・資格もあります。
そのため、
「IT系の学部を出ていないから技人国は無理」
とすぐに判断するのではなく、学歴、職歴、保有資格を総合的に確認することが重要です。
具体例|学歴と仕事内容の関連性はどう考える?
次の表は、考え方を分かりやすくするための一例です。
学歴・専攻 | 採用予定業務 | 確認のポイント |
|---|---|---|
情報工学 | システム開発 | 関連性を比較的説明しやすい |
建築学 | CAD・建築設計 | 履修内容と業務の関連性を説明しやすい |
経営学 | 法人営業・マーケティング | 経営・マーケティング等の履修内容を確認 |
経済学 | 経理・財務 | 会計・金融等の履修科目と具体的業務を確認 |
国際関係学 | 海外営業・貿易 | 国際ビジネス等の履修内容と担当業務を確認 |
観光学 | ホテルの企画・海外顧客対応 | 実際の職務内容が技人国に該当するかを確認 |
情報系専門学校 | ITエンジニア | 専攻・履修科目との相当程度の関連性を確認 |
調理系専門学校 | ITエンジニア | 通常は関連性の説明が難しく、他の要件も検討 |
この表だけを見て許可・不許可を判断できるわけではありません。
例えば「営業」といっても、
法人向けの提案営業
海外顧客との商談
市場分析を伴う営業企画
など、具体的な業務によって内容は大きく異なります。
職種名ではなく、実際の仕事内容を見ることが重要です。
成績証明書では何を確認する?
外国人採用の初期段階で、できれば確認しておきたいのが成績証明書です。
特に専門学校卒業者や、大学の専攻と仕事内容との関係が分かりにくい場合には重要です。
成績証明書では、
どのような専門科目を履修しているか
仕事内容に関係する科目がどの程度あるか
卒業論文や研究テーマ
実習・演習科目
IT、会計、経営、マーケティングなどの関連科目
を確認します。
例えば、学科名が「国際文化学科」であっても、成績証明書を見ると、
マーケティング
国際経営
貿易実務
統計
ビジネスコミュニケーション
などを履修している場合があります。
このような履修内容が、採用後の業務との関連性を説明する材料になることがあります。
関連性が分かりにくいときはどうする?
学歴と仕事内容との関係が一見して分かりにくい場合には、
「なぜこの外国人の知識が、この仕事に必要なのか」
を第三者が見ても理解できるように整理することが重要です。
例えば、
成績証明書
シラバス
卒業論文・研究内容
職務内容説明書
組織図
業務フロー
雇用理由書
などを用いて説明することが考えられます。
重要なのは資料を大量に提出することではありません。
本人が学んだことと、会社で担当する仕事を一本の線でつなげること
です。
例えば、
大学でマーケティング・市場分析を履修
↓
日本企業で海外市場調査を担当
↓
調査結果をもとに海外向け販売戦略を立案
というように説明できれば、大学で身につけた知識と採用後の仕事内容との関係が分かりやすくなります。
採用担当者は「内定前」に学歴を確認するのがおすすめ
外国人採用では、
採用を決定
↓
雇用契約締結
↓
在留資格を確認
という順番になってしまうことがあります。
しかし、技人国の場合には、できれば内定を確定する前に、
現在の在留資格
最終学歴
専攻・履修科目
職歴
採用後の仕事内容
を確認しておくことをおすすめします。
特に、
専門学校卒業者
海外大学の専攻が分かりにくい場合
学歴と仕事内容が一見すると異なる場合
転職によって仕事内容が大きく変わる場合
実務経験で要件を満たそうとする場合
には、採用前の確認が重要です。
内定後になってから、
「この学歴では予定している仕事内容との関連性を説明するのが難しい」
と判明すると、企業にも外国人本人にも大きな負担となります。
よくある質問
Q. 大学の学部と仕事内容が違うと技人国は取れませんか?
必ずしもそうではありません。
大学卒業者については、専攻と仕事内容との関連性は比較的柔軟に判断されています。
学部名だけで判断するのではなく、実際に履修した科目と採用後の仕事内容を確認することが重要です。
Q. 専門学校卒業者も同じですか?
大学卒業者とは少し異なります。
一般的な専門学校卒業者については、原則として専攻科目と仕事内容との間に相当程度の関連性が必要とされるため、成績証明書などで履修内容を詳しく確認することが重要です。
一方、文部科学大臣の認定を受けた一定の専門課程等の修了者については、関連性を柔軟に判断する運用があります。
Q. 大卒なら単純作業もできますか?
大学卒業者であっても、技人国で認められる活動の範囲が広がるわけではありません。
採用後の業務そのものが、技術・人文知識・国際業務に該当する必要があります。
Q. 海外大学卒業者でも申請できますか?
海外の大学を卒業している場合も学歴要件を満たすことがあります。
ただし、学校・学位・専攻内容などを個別に確認する必要があります。
Q. 学歴との関連性が弱い場合、雇用理由書を書けば許可されますか?
雇用理由書を書けば、それだけで要件を満たせるわけではありません。
雇用理由書は、本人の学歴・経験と仕事内容との関係を分かりやすく説明するための資料です。
そもそも法令上の要件を満たしていなければ、理由書だけで補うことはできません。
まとめ|学部名ではなく「学んだ内容」と「実際の仕事内容」を確認する
技人国の学歴と仕事内容の関連性を確認する際には、
「○○学部だから○○職なら大丈夫」
というように、学部名や職種名だけで判断しないことが重要です。
特に確認したいのは、
外国人が大学・専門学校で何を学んだのか
どのような専門知識を身につけているのか
採用後にどのような仕事をするのか
その仕事で専門知識をどのように使用するのか
という点です。
また、
大学卒業者については関連性が比較的柔軟に判断される一方、一般的な専門学校卒業者については相当程度の関連性が求められる
という違いも理解しておく必要があります。一定の認定専門課程等については、専門学校卒業者でも関連性を柔軟に判断する運用が導入されています。
外国人採用では、在留資格申請の直前ではなく、できれば採用選考の段階で卒業証明書・成績証明書などを確認しておくと安心です。
行政書士しのはら事務所では、
この学歴で予定している仕事に就けるか
大学の専攻と仕事内容に関連性があるか
専門学校卒業者を採用できるか
海外大学の学歴をどのように立証するか
実務経験によって技人国の要件を満たせるか
といった、採用前の在留資格確認にも対応しています。
「この外国人をこの仕事内容で採用できるか、内定前に確認したい」という企業様も、お気軽にご相談ください。
参考資料
本記事は、出入国在留管理庁が公表している「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」「外国人留学生の就職促進に向けた運用等の見直しについて」等をもとに、2026年8月8日時点の制度を整理しています。
※在留資格の審査は、本人の学歴・職歴、具体的な職務内容、勤務先その他の事情を踏まえて個別に行われます。本記事は一般的な制度を解説するものであり、個別案件の許可を保証するものではありません。
この記事を書いた人
篠原 博之
行政書士・AFP
行政書士しのはら事務所 代表
個人税理士事務所・中小企業の総務部長・税理士法人のIT担当の経験を経て独立
バックオフィスのDXに注力している。
登録番号:第24080248号|東京都行政書士会 新宿支部所属
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